2018年 平和のパネル展 感想ノートの寄せ書き

初日(8月2日)、オープニングセレモニーで挨拶する西本多美子さん(石川県原爆被災者友の会会長)

 

昨年に引き続き、友禅作家の志田弘子さんのタペストリー11点も展示しました。

平和のパネル展に寄せる想い

2018年  夏  平和パネル展に寄せて  志田弘子

友禅染を生業として、45年余りになります。

子育て時代、子ども達が寝静まった夜更け、そーっと、童子に目鼻を描きました。独学で失敗ばかりの多い中、ほんの1人,・・命を吹き込むことのできたような瞳に出会えた時、自分の子ども達と重ね合わせて、同じくあどけない多くの子ども達のことを想わずにはいられませんでした。

加賀友禅では着物の制作が中心で、染額はあまり作ってはいなかった10年あまり前、イラク戦争で瓦礫の下敷きとなった子ども達の映画を観ました。

やりきれない怒りで、鳥になってさまよう小さな子ども達を染めずにはいられませんでした。

原発への不安に、いたたまれず、子ども達の手を引いて団結小屋に通ったその昔・・。小さかった娘が母になった時、染めずにはいられなかった子を抱く母、その喜びと愛おしさ・・”同じ気持ちです“と立ち止まる方に出会えた頃から、いのちや平和への想いを染め続けたい・・という気持ちは抑え難くなってゆきました。

東日本大震災・・・

国策として、口を封じ、安全と思い込まされてきた原発の信じられない脆さ・・。

豊かな恵みに満ち溢れた地の、生きとし生けるもののかけがえのない日々は、多くのいのちと共に、あまりにもたやすく奪い取られてしまいました。

“国は守ってくれないんだ・・私達は捨てられたのだ・・”

福島からのその言葉は、荒れ果てた故郷に立ち尽くす人達の・・

子を守る母達の・・外で遊べぬ子ども達の・・離れ離れの家族達の・・

いたるところで踏みつけにされた人達の、深い呻きの言葉でした。

喜びや哀しみや怒りや・・その時々の心を染めずにはいられませんでした。

脇道でいい・・創り続けていられるだけでいい・・と、大きなところから離れて、出来ることを探して・・と決めた不器用者でしたが

“ついているよ”・・と支えてくれる仲間たちや、心配してくれる心温かな人達にいっぱい出会えました。

歌や音楽や詩や・・・想いを表現し、いのちや平和を求める人たちにいっぱい出会えました。

能登の自然を子どもたちに・・と願う母達、つなぎあうおんな達にいっぱい出会えました。

自分の想いを口にできなかった臆病ものが、

口にしていいんだ・・と思うようになり、

口に出さなければいけないんだ・・と変わってゆきました。

戦争も核も、子ども達のいのちを脅かすものは、決して許してはならない・・

“決して再び繰りかえしません”・・誓いの言葉もないかのごとくに

まさか・と思う足音が、だんだん、だんだん、大きくなる今、

先をも見ずに、突っ走るこの国は、弱いものも小さいものも踏みつけにして目も耳もふさいだままに、いったい何を追いかけるのだろう・・。

子ども達にいったい何を残し、背負わせるのだろう・・。

いたたまれない思いに苛まれます。

私達が贈れるものは、いのちの未来につなげる希望・・

幸せを求めて生まれてくる子ども達 

かけがえのない命を育み、大地の上に立たせてくれる、真に豊かなものを手渡してゆきたい・・。

それぞれの場所で、それぞれが出来ることで、いのちの方向を見つめながら、声をあげたい・・。

あきらめずに、それぞれが願い続けて行くことこそが、子ども達、そのまた子ども達の希望が続いてゆくこと・そのものなのだ・・と。

どんなに小さな声でもいい・・。どんなに小さな想いでもいい・・。

つながり合えば大きくなれる・・と。                       

 

 

今年のパネル展では<読書コーナー>を設けて、「はだしのゲン」「この世界の片隅に」などの漫画本や絵本も持ち寄りました。

 

 はだしのゲンをひろめる会も参加している反核・平和おりづる市民のつどい実行委員会が今年も8月2日から16日まで、石川県庁19階展望ロビーで「平和のパネル展」を開催しました。今年の展示作品は、日本原水爆被害者団体協議会制作の「原爆と人間」パネル30点、友禅作家の志田弘子さんの友禅染絵11点です。

 展示会場に備えてあった「感想ノート」に記載された寄せ書きを以下に紹介します。

2018年 平和のパネル展 感想ノート

    日 時  2018年8月2日(木)~8月16日(木)

    会 場  石川県庁19階展望ロビー

    主 催  反核・平和おりづる市民のつどい実行委員会

    事務局  石川県生活協同組合連合会

 

8月2日(木)

〇いつもの写真と追加されたものと、あらためて貴重な歴史を知り、そして反核・平和の想いを強めるひと時になっています、なりました。志田作品もあらためてしみじみ味わいながら鑑賞しました。明日(3日)のどいね原発300回目も、がんばります。

8月3日(金)

〇代筆、あすから広島へ行きます。8月5日、原爆供養塔のところで祈ります。30何年続けていることです。その前に来ました。

〇原ばくもこわいけれど黒い雨も、その雨にあたると髪の毛がぬけたり、病気になったりして死んだ人もいるので、黒い雨もこわいと思いました。(小学4年)

〇熱線や爆風などでいろんなものが死んでしまってこわいと思いました。

〇福島の事故で一時は国全体が廃炉の方向に向かったかと思われましたが、福島がまだ事故の解決も見えていない状態で、首相は海外へ「原発は安全です」と、何の根拠も説得力も無い売り込みを続けている。誰にもどうしようも出来ない、怒りがこみあげます。

〇デイサービス「シェア金沢」から利用者10名がヘルパーさんのご好意で「折り鶴」を出された中島外次さんの展示を見学させてもらいに来ました。係の方の平和への熱い想い、願いの説明を耳にしながら語り継ぎいかなければならない責任を厚く感じました。有難うございました。感謝です。

8月4日(土)

〇見せていただきました。すみませんが「沖縄スパイ戦史」のチラシ置かせてもらいましたが、そぐわなければ撤去してください。(水口)

8月6日(月)

〇毎年、見ています。原爆と人の死を考えられないのですかね? 人が1名亡くなってもツライのに沢山の人が亡くなり地獄ですよ。

〇初めてみた写真もあった、写真に負けないよう応援します。

8月7日(火)

〇祖父母からよく戦時中の話をききました。聞くのはとても嫌でしたが、そういったことを伝えていくことは大事なことだと子供心に思いました。今日のパネルを見て、祖父母のことを思い出しました。

〇8月6日、9日は忘れてはならない日。毎年ここに来て自分の生きていることをふり返る。写真展は毎回、同じ様子・姿を見ても胸が痛みます。あってはならないこと、自然の災害ではない。人が人を殺すことはあってはならない。命の大切さを今日も学びました。

8月8日(水)

〇昨日テレビのニュースで知り見に来ました。何と悲しい悲しいパネルです。涙が出ました。原発もなくなれば良いと思いました。祈るだけです。(73歳)

〇私は毎年ヒロシマ・ナガサキの写真展を身に来ています。初めてきた時は思わず涙が出ました。子供と女性がかわいそうでなりません。来年も見に来ます。

〇つるのおりかたはかんたん。つるのおりかたできた。

8月10日(金)

〇子供の頃に色々な写真をみて、ショックだったことを思い出しました。とても悲しくて辛いできごとです。二度とこんなことにならないよう幸せでありたいと願うばかりです。(母、47歳)

〇つみがないのに死んでしまった人たちがいて、かわいそうだと思った。(小学6年)

〇げんばくはおそろしいなと思った。もうそんなことはやめてほしいな。平わになったらそんなに人は死なないから・・・。

8月11日(土・休日)

〇ゆっくり見ています。志田さんの作品、実に手の込んだ作品ばかり。そして手元がぶれてない、平和への迷いがない作品なのですね。(岩原茂明)

〇生々しく亡くなった方の写真を見て正直、うわった思ったし、見れなかった。今の時代は本当に恵まれていると思った。世界で戦争などなくなればいいのに・・・。(21歳)

8月13日(月)

〇何度見ても胸がつまりますね。年々年を重ねていくと・・・。広島・長崎のこの悲惨な思いや次世代にもしっかりと届きますように・・・。

〇学童がお休みなので小学生12名、年中さん1名連れて見に来ました。原爆パネルははじめて見た子どもたち。「こわかった」と言っていましたが、大切にしたい気持ちだと思います。(母45歳)

8月15日(水)

〇話は聞いてまいりましたが・・・涙が止まらず・・・。弟を背負っていた少年は現在80代・・・。8月6日この日が来る度、涙どころではないでしょう。日本の隅っこからですが、祈、祈、平和を。

〇7月4日に広島のNHKの番組の鑑賞にあたり行ってまいりました。折り鶴をたくさん見てきました。平和をもっともっと願うようになりました。いのちのうた、すてきな歌もきいてきました。(58歳)

〇昨年、西本多美子さんのお話をお聞きしました。平和の大切さ、戦争の恐ろしさ・・・伝えていきたいです。

8月16日(木)

〇平和のつどい〝不戦のつどい〟を終えたことで、何かホッとして、今日、雨が強かったですが、出かけて来ました。実行委員の皆様、ごくろうさまです。不戦を学ぶのは夏だけではないのだが・・・と思いながら、TVでこの時期に集中しているドキュメンタリー番組をできるだけ観るようにしています。

「ノモンハン事件の責任は?」

「満州開拓団の女性の悲劇」

が直近で記憶に新しいです。

 ノモンハン事件については、初めて知りました。責任ある立場の人間が誰も責任をとらない戦争。今のアベがそのとおりですね!情勢読みの甘さといい・・・日本人の特質かしら???と悲しくなります。日本人は武士道の潔さを美としているのではないの?

 また、直接「ソ連の交戦せよ!」とあおり立てた辻政信が石川県出身者で、責任を取らされることなく生き延びた。その息子が言った言葉も腹立たしいものでした。「父は少佐だった。まだ上に中佐とか大佐とかいるのでしょ、父にはそんな責任はないよ」とアッケラカンと。

 すみません、長々と書いてしまいました。岩原さん、きのうもお疲れさまでした。

 志田さんの作品、実物はこんなに大きかったんだ。迫力! (能沢栄)

〇暑い中、ご苦労様です。非核・平和の道を共に歩みたいと思います。(金沢市議会 森一敏)

 

(注)「平和のパネル展」は来年(2019年)も8月2日~16日、石川県庁19階展望ロビーで開催します。

 

 

はだしのゲン・紙芝居

出版物の紹介


はだしのゲン
『わたしの遺言』
 中沢啓治 著

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