原水爆禁止2016世界大会・国際会議 参加報告(江守道子)

国際会議 写真4(修正版)

原水爆禁止2016年世界大会・国際会議始まる(会場の雰囲気)

原水爆禁止2016世界大会・国際会議に参加して

はだしのゲンをひろめる会 副理事長  江守 道子

 毎年8月、広島又は長崎で開催される原水爆禁止2016世界大会・国際会議にはだしのゲンをひろめる会を代表し、8月2日、3日の2日間初めて参加しました。会議は、世界中の核兵器廃絶を求め、日ごろから活動している人たちが世界中から一堂に集まり協議するものです。

 初日の2日午後2時から、ホテルセンチュリー21広島にて、大会テーマ「核兵器のない平和で公正な世界のために」と題し、被爆者、国連や政府代表、国内外の平和活動家が集った国際会議・開会総会が始まりました。 昨年、白崎良明先生が『はだしのゲン』の寄贈運動について発言し、海外に7セットを寄贈した実績から、今年も10セット寄贈を目指し、総会に先駆けて質疑応答時間での発言を申し込みました。

 総会では、主催者で、世界大会実行委員会の野口邦和運営委員会代表が粘り強い運動の結果、国連でも「圧倒的多数の国が、核兵器を法的に禁止・廃絶する交渉を速やかに開始すべきだと主張している」と報告し、今後も「世界各国での世論と運動の継続が重要」と強調。被爆者あいさつでは、長崎で被爆した日本被団協事務局次長 木戸季市氏が自らの体験を語り、「核兵器の悲惨さ、すべての原爆被災者への国家補償の実現で、被爆者は初めて平和の礎として生きることができ、死者は安らかに眠ることができる」と述べました。そして、平均年齢80歳を超えた被爆者が今年提唱した「被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」(ヒバクシャ国際署名)を世界で数億集めよう」と呼びかけました。また、特別報告を行ったセルジオ・ドゥアルテ元国連軍縮問題担当上級代表は、「世界は核兵器をめぐる分岐点にあり、核兵器に依存して自国の安全保障を図ろうとする人々に立ち向かおう」と呼びかけていたのが印象的でした。

国際会議 写真3

漫画『はだしのゲン』を通じ、平和の尊さを英語でスピーチ

 その後、質疑応答に入り、私はひろめる会を代表し、核兵器廃絶運動の基本である、核被害者の実相を理解すること、被害者の心情に共感すること、若い世代へ運動を引き継ぐことの重要性を英語で強調。そして、被爆者の証言活動も高齢化と共に今後は困難になると思われ、多くの人々に漫画『はだしのゲン』を通し、核戦争の悲惨さや、平和の尊さを学び続けてほしいと願っていることを訴えました。広島で被爆し、たくましく生きた故・中沢啓次氏の自伝「はだしのゲン」は、すでに英語、ロシア語、中国語、韓国語を始め世界24か国語に翻訳され、少しずつではありますが、世界中を駆け巡っています。とりわけ若い人達に、ゲンの生きざまを通して核兵器の悲惨さ、戦争の愚かさ、平和の尊さを学んでもらいたいと訴えました。

 午後に入り、第1セッションのテーマは「広島・長崎の原爆被害、核兵器の非人道性ヒバクシャのたたかい」。ここでは、国内を始め韓国、マーシャル諸島、ロシア、リトアニアなどからそれぞれの被爆の実態が語られ、その事実に大きな衝撃を受けました。 続いて第2セッションのテーマは「核兵器禁止条約、核兵器のない世界、平和運動と市民社会の役割」。ここでも、アメリカ、イギリス、オランダから報告があり、とりわけ核軍縮キャンペーンを行ったイギリスのキャロル・ターナー氏の話の中で、お祭り、集会、有名人を巻き込んで行う活動方法やあくまでも人道的な活動であるという訴えの重要性が印象的でした。熱い質疑応答があり、終わったのは7時過ぎ、熱気に圧倒された半日でした。

国際会議 写真1

インド  平和と開発イニシアチブのためのタクルプクール・センター会長 アルンドティ・ロイ・チョウドゥリー氏と

 翌日は、9時30分から第3セッションが始まり、テーマは「核兵器のない世界への共同:核抑止論の克服、戦争の平和的解決、脱原発、安全な暮らしと環境」。アメリカ、韓国、フィリピンの若い人たちから、平和活動への取り組みとその報告があり、改めて平和な世界実現への希望を見出すことができました。午後から参加した、第2分科会のテーマは「核兵器禁止条約、核兵器のない世界、平和運動と市民社会の役割」。ここでは、主に国内で行われている平和運動の報告があり、私も再度「はだしのゲン」寄贈運動の話をするため申し込みをしていましたが、時間がなく途中で退席したのがやや心残りでした。ただし、アメリカを始めロシア、インド、フィリピン、オランダなどから早速申し込みがあり、今後早々に送る予定です。

国際会議 写真2

フィリピン  平和を教え、平和運動をつくろう ゲレーロ・M・サニョ氏と

 私は、世界に漫画『はだしのゲン』を通して、戦争の悲惨さや平和の大切さを知ってもらう目的で参加しましたが、久しぶりに若い人達と英語で話す機会にも恵まれ、核のない平和な世界実現に大きな期待と勇気をもらったエキサイティングなひとときでした。

 

はだしのゲン・紙芝居

出版物の紹介


はだしのゲン
『わたしの遺言』
 中沢啓治 著

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