(2013年11月、金沢市民劇場会報第313号より転載)
金沢市民劇場第304回例会(9月23日:金沢歌劇座大ホール、9月24日:野々市フォルテ大ホール)
木下事務所公演
「ミュージカル・はだしのゲン」運営サークルまとめ
今例会の原作ほど世間で話題になったことはなかった。閲覧制限という言葉も耳にし一瞬あの暗黒時代を思わせた。8月6日期せずしてこの日、事前学習会の日となった。講師としてプロジェクト・ゲン代表の浅妻南海江さん、漫画「はだしのゲン」のロシア語訳を最初に取り掛かってくださった人である。当日DVD 「今、ゲンが伝えたこと」を観て浅妻さんに何をどう話してもらおうか、司会は誰になどと話し合いを持ったのが8月1日の第1回運営サークル会である。前々日NHK「クローズアップ現代」で脚本・演出の木島 恭さんのこの芝居にかける思いを聞いたばかりであった。
ばたばたと役割分担しながらスタートをきった。前例会「どろんどろん」の興奮冷めやらぬ時であった。お芝居の面白かったことや今打ち込んでいることなどを盛り込んでの他己紹介、運営サークルになって初めて知りあう仲間である。この仲間と約2カ月、共に持てる力を出し合って会員を広めていこうと話し合う。このサークルの名前を「ゲンの会」と命名。
事前学習会には66人もの参加があった。講師の浅妻さんはこの日のためにどのDVDが一番思いを伝えることが出来るか取り寄せるのも苦労された。この時芝居の背景がよくわかった。
「ゲン」に触発されて、戦争体験が語られ深められーー。
その後の「ゲンの会」は自身の戦争体験を語ることもあり、普段の会話には出てこない話で、涙ながらに聞くことも多かった。戦争はこんなにも残酷に私たちの生活を、人生を奪ってしまうものだということが痛く心に染みた。このことをマンガで描いた中沢さん、ミュージカルで伝えた木山さんどちらも亡くなられた今、追悼の意味でも何としてでも会員を増やして例会を迎えたいものだと話しあった。
丁度この時期、県庁展望ロビーで開かれた「原爆と人間展」で紙芝居「はだしのゲン」の展示があり、ひょうしぎの会のノマリンこと野間さんに紙芝居をお願いしてみようということになった。その日は9月2日と決定。各自が劇場以外の参加している集まりはないか、お誘いしてみたい友人はないか、この機会に行動を起こしてみようと話し合った。所属する高齢者の会で入会、スポーツジムでのお誘い、再入会の人、自著の紹介とともに継続して増やし続けているなど、にこにこマークが続出。この例会を待って入会した人もあった。
また、以前取り組んだことがある手紙作戦についても提案があり、例文が出された。早速、その例文のまま呼びかけたらご夫婦で入会があり、その後3人でサークルができるということで1人増やしてくださるという発展を遂げた。しかし、いつもうまくいくとはいかず、相手の状況や、書く側の伝え方にも工夫がいるのではとずいぶん勉強になった。何十年かぶりで同窓会がありその時、会った人にお手紙を書いて入会という体験もあった。
熱演の紙芝居からクリアへむけて励ましあいの日々
さて、紙芝居の日は風雨の中にも拘らず盛況でノマリンもびっくりするほどの人。参加者からは、ノマリンはゲンそのものであった。もっともっと観たいと、大好評、その時入会した人が自分の夫を誘ってくれた。
運営サークルとして今度は紙芝居に来た人にはがきを書き、再度どなたかに広めてほしいことを訴えた。これはお世話役の人中心にした。又4回目の運営サークル会でNさんが、歌とアーサー・ビナードさんの絵本「さがしています」を披露してくださった。その日の午後の会でも歌を歌った。原発いらない、戦争しないの願いをこめた歌だった。
劇団木下事務所からも励ましのFAXが届いた。胸熱くしてその日を待ち、何としても前例会クリアしたいと励ましあった。例会当日、約束してくれた人が入会手続きを終えた時、その場にいた仲間全員で拍手・・嬉しい・・思えばこの日を迎えるためにどれだけ積み重ねてきただろう出会いと話し合い、今まで顔も知らない、話したこともない仲間と同じ目標に向かって歩んできたのだ。演劇鑑賞を通じて肩叩きあう仲間である。出会えたことで生きる幅が広がったように思える。
素晴らしい例会だった。まとめの会でも絶賛、例会会報に掲載された詩がすべてを言い尽くしていると誰かが言った。副代表の斎藤さんが書かれた詩である。朗読を聞きながら、あらためて作者のこと、そして携わった沢山の人のことに思いを寄せた。運営サークルのみなさん、本当にお疲れ様でした。
(かたくりの花 S・K)
(カーテンコール)
「ミュージカル・はだしのゲン」感想文
涙が止まらない舞台
今回の例会は、9月24日(火)、野々市フォルテにおいて舞台をみた。海外公演もおこなわれ、練りに練り上げられた作品という前評判の高い作品で、期待していた。期待どおり、感動が次々と込み揚げて来る舞台で、涙が出て止まらなかった。
私も、昔、原作のマンガを読んだ。今回の例会では、ミュージカルという舞台のために、原作のエキスを凝縮し、一気に、原爆の悲惨さを、役者の演技に加えて、音楽・効果・照明を駆使して、舞台上で表現した。会員の多くの方々も、舞台上の役者の動きに、息を飲み、感情移入し、感銘を受けていた。舞台と会場が一体化したように感じた。
小野文子さんはエネルギッシュで逞しいゲンを演じた。役者みんなで踊るダンスもすばらしかった。案内役の前田昌明さんは、短時間に、多数変化する各場面展開を有効にするために、会員がスムーズに感情移入を持続できる微妙な間の取り方や語り口が良かった。
最後は、「この子たちの夏」で聞いた朗読を、被爆者の声を体現する、舞台上で役者がゆったりとした動きの中で会員に伝えていた。『何度見ても少しも退屈しないどころか、いつも新たな感銘を受ける。』という演劇評論家もいる。このような画期的な舞台を制作された木山潔さんが死去されたことは悲しい。しかし、今後とも木山事務所は、『この舞台を通して犠牲者の声なき声に心を痛めながら、”今、生きて、在る”ことの実感を確かめ合い、ヒロシマ、ナガサキを遠い過去にしない』との彼らの思いを継承されることを期待したい。
(花とおじさん N・R)


