原水爆禁止2018年世界大会・国際会議 参加報告(江守道子副理事長)

【原水爆禁止2018年世界大会・国際会議 参加報告】

核兵器禁止条約の早期発効へ 私たちができることを

NPO法人はだしのゲンをひろめる会

副理事長  江守道子                           

 8月2日から3日にかけ、例年広島で開催されている国際会議に今年で3年連続の参加になりました。会議は、アイルランドやオーストラリアの政府機関代表はじめ、世界や国内の平和団体代表や個人など、23カ国約200名の参加者で構成されていました。

フランスの出席者らと記念撮影する筆者㊨

 

 冒頭、世界大会実行委員長の野口邦和氏が主催者挨拶で「私達の運動が、1年前の歴史的な核兵器禁止条約採択となり、条約の発効と朝鮮半島の非核化の実現に向け各国の世論と運動をどのように前進させるか?また安倍政権に対し〝核の傘〟依存の見直しと条約への署名と批准を粘り強く迫ろう」と訴えました。

 被爆者代表で日本被団協事務局次長の大下克典氏は、条約不参加の日本政府に対し「唯一の戦争被爆国として率先して批准すべきで、核の傘を理由に反対するとは何たることか?」と批判。条約の早期発効を訴えるヒバクシャ国際署名にも触れ、「国内外により多くの署名を集めよう」と呼びかけました。両氏共に、大会テーマ「核兵器のない平和で公正な世界のために」私たち一人ひとりができることを実践しようと語りかけているのが印象的でした。

 第一セッション「広島・長崎の原爆被害・核兵器の非人間性、ヒバクシャのたたかい」では、4人の発言者がそれぞれの立場から原爆当時の被害の大きさや、その後も継続する放射線被害との闘い、そして今なおその傷を背負って生きている実相を語ってくれました。私は、韓国人の原爆被害による死者が6万人に及ぶと初めて知り、当時の日本の植民地政策で、300万人もの人々が日本で強制労働をさせられた実態も知り、改めて戦争の悲惨さに言葉を失いました。

国際会議全体会で発言する江守道子さん

 

 第二セッションでは5人の発言者がありました。最初にアメリカ平和・軍縮・共通安全保障キャンペーン議長で、この会議の常連ジョセフ・ガーソン氏が「アメリカ人として原爆投下が、それ自体、世界法廷の基準に照らしても人道に対する犯罪であることを認めたい」。そして「トルーマンの原爆投下は、究極的には原爆を手に入れ、ロシアより優位に立ちたいという思いからなのです」と・・・・、また、現在のトランプ政権に関し、混乱迷走し、再び東西冷戦時代に逆戻りしている危険な時代であり、議員やマスコミを通し核兵器廃絶を多くの活動家や市民と共同で活動している報告が印象的でした。

 翌日の第三セッションのテーマは「核兵器廃絶と諸分野の運動との連帯」。発言者の一人でロシア、フィンランド港南岸公共評議会/映画監督のオレグ・ボドロフ氏は「私は長年ロシアとNATOが対立するバルト海沿岸に住んでいますが、そこは地球上で最大級の核の集積地で、10基の軍用・民間原子炉が建設され、今も新たに3基が建設中。長崎に投下された原爆3,000発分のプルトニウムを含む5,000トンの使用済み核燃料。さらに。30基以上の原発用原子炉があり、今も4基が建設中。ロシア外務省は〝核兵器禁止は、ロシアの国益に反する〟と公言。氏は、これに対しNATO加盟国とロシア指導者、議員に対しバルト海地方での敵対と軍事化中止を呼びかける署名運動を開始。そして代わりにエコシステム保全計画の資金集めを呼びかけ、バルト諸国やイギリス、フランス、アメリカのNGO代表110人が署名してくれたそうです。最後に「友人の皆さん、私たちは共通の家に住んでいるのです。地球です!私たちは共に子供を育て、健全な環境を必要としています。」と結び、私たちの今後の核兵器廃絶・平和運動への取組みの原点であると再認識しました。

< 追記 >

 私の役割は、漫画『はだしのゲン』を世界中に広めるため、会を代表し英語でスピーチ。世界中の人々、とりわけ若い世代に戦争の悲惨さ、愚かさを知ってもらうため、学校や図書館へ寄贈の働きかけです。今年の国際会議ではフランス、アメリカ、フィリピンからの海外代表5人から『はだしのゲン』(英語版)8セットの申し込みがありました。

 

 

はだしのゲン・紙芝居

出版物の紹介


はだしのゲン
『わたしの遺言』
 中沢啓治 著

関連リンク

アーカイブ