漫画「はだしのゲン」ロシア語版の翻訳者であり、翻訳・出版ボランティアグループ「プロジェクト・ゲン」の代表、NPO法人「はだしのゲンをひろめる会」の理事長を歴任された浅妻南海江さん(金沢市 80歳)のインタビュー記事が北陸中日新聞4月29日付に掲載されました。同日中日新聞や同Webにも掲載されました。本会HPに紹介します。印刷用PDF 1MB
漫画「はだしのゲン」ロシア語版の翻訳者であり、翻訳・出版ボランティアグループ「プロジェクト・ゲン」の代表、NPO法人「はだしのゲンをひろめる会」の理事長を歴任された浅妻南海江さん(金沢市 80歳)のインタビュー記事が北陸中日新聞4月29日付に掲載されました。同日中日新聞や同Webにも掲載されました。本会HPに紹介します。印刷用PDF 1MB
2023年2月28日
談話
平和教育教材から『はだしのゲン』を削除した広島市教育委員会の決定について
日本原水爆被害者団体協議(日本被団協)
事務局長 木戸季市
今回の広島市教委の決定を聞いて、驚き、あきれています。
被爆者(5歳、長崎被爆)として、長く学校(小中高大院)で学び、ほぼ40年間教育の場(短大教員)で生きてきた者として、怒りを禁じ得ません。
削除を決定した広島市教委、審議にあたった13人の識者、教育専門家に教育とは何かを根本から考える人はいなかったのでしょうか? 一人でも教育とは何かわかっている人がいたらこんな結論を下すことはなかったでしょう。
今回の改訂にあたって「『漫画』の一部を取り上げるだけでは、被爆の実態に迫りにくい」として、「被爆者の体験談に差し替えることにした」と報道されています。悲しくなります。原爆が人間に何をもたらしたか全く分かっていないと感じるからです。
被爆者の体験談は多くの場合、個人の体験です。『はだしのゲン』は多くの被爆者の体験を基に被爆者が苦しみ、生きてきた全体像を描いています。『はだしのゲン』を削除し「被爆の体験」に差し替えることは原爆被害の全体像を見せない結果をもたらしかねません。真逆の判断です。
教育委員会のみなさんは日本被団協の『原爆被爆者の基本要求』の「原爆がもたらしたもの」をお読みになったでしょうか。被爆者が何を求めて生き、たたかってきたかを学び検討されたでしょうか。
さらに看過できない根源的な問題があります。一つは教育行政の責務は教育条件の整備であり教育内容への介入はできないということです。もう一つは人類の歴史を知り学ぶとはどういうことかという問題です。「児童の生活実態に合わない」ことを理由に過去の出来事を学ばせないことは過去の事実を学ばせず人類の歴史を学ばない行為です。これほど人類史を冒涜する行為があるでしょうか。
密室の会議で表現の自由を抹殺する行為は戦前の言論弾圧の歴史、菅内閣の学術会議会員の任命拒否を思い起こさせます。密室、理由なき結論の押し付けは戦争への道につながります。許せません。
広島市教委は今回の措置を撤回し、広島市民、被爆者に広く開かれた公開の新しい会議を設け、改めて審議されるべきだと考えます。広島市教委の猛省を求め、談話とします。
◎2月28日、広島市教育委員会宛に送付された日本被団協事務局長の談話です。県内在住の西本多美子さん(元石川県原爆被災者友の会会長)から提供いただきました。
石川県内の小・中学校に『はだしのゲン』寄贈運動を行っている核戦争を防止する石川医師の会(略称:石川反核医師の会)が広島市の小学校の平和教材から削除されることを受けて、2月24日、削除撤回を求める声明を発表しました。本会ホームページに紹介します。関連リンク(石川反核医師の会)も参照ください。
「はだしのゲン」の学校教材からの削除撤回を求める声明
令和5 年2 月8 日付で公開された「平和教育プラグラムの改訂について(報告)」では、広島市教育委員会で2013 年度より活用されている学校教材「ひろしま平和ノート」において、2023 年度より、小学3 年生向けの教材の中から、漫画「はだしのゲン」に関する掲載箇所を削除する旨の報告が記載されており、この改訂にあたっては、各種媒体においても大きく報道されています。
広島市教育委員会は、今回の掲載削除について、「漫画の一部を教材としているため、被爆の実相に迫りにくい。」との理由を挙げています。具体的には、浪曲が登場する場面が児童の生活実態に合わない、鯉を盗む描写が誤解を与えるなど、補足説明を要するために教材として扱うことが難しいとされています。
しかし、たとえ切り抜きだとしても、その場面に描かれた風景や登場人物のセリフ一つひとつが、被爆の実相や戦前・戦後の生活実態を知る重要な記録と言えます。特に「はだしのゲン」は、漫画という子どもたちにとってより伝わりやすい形で、当時の広島の生活状況、被爆の実相を学ぶことができる良書であるからこそ、2013 年当時、「ひろしま平和ノート」に教材として採用されたのではないでしょうか。
原爆の被害を前に、医師は余りにも無力となることを、私たちは先の戦争から学びました。治療が難しいならば、予防しなければなりません。当会では、若い世代に核被害の実相を伝え、核廃絶運動を広げていくために、2011 年より、石川県内の小・中学校に「はだしのゲン」を寄贈する取組を実施しており、広島から遠く離れた石川県でも多くの子どもたちに読み継がれています。
原爆投下から77 年が経過し、被爆者の方のお話を直接伺う機会が減った今、ゲンが伝える被爆の実相と継承の価値はますます大きなものとなっています。「子供から、はだしのゲンを遠ざけるつもりは全くない」との広島市教育委員会の発言が報道されていますが、それならば、すべての小・中学校への配架など、今後も「はだしのゲン」が多くの子どもたちに読み継いでもらえるよう一層の工夫が必要であり、平和教材からの掲載削除はそれに逆行するものではないでしょうか。私たちは、教材からの削除撤回と、「はだしのゲン」のさらなる活用を求めます。
2023 年2 月24 日
核戦争を防止する石川医師の会
代表世話人 江守道子
2023年2月22日
広島市の学校教材に「はだしのゲン」継続採用を求める声明
特定非営利活動法人
はだしのゲンをひろめる会
理事長 白﨑 良明
広島市教育委員会が、平和教育プログラムの一環として2013年度から小学3年生の学校教材「ひろしま平和ノート」に採用してきた漫画『はだしのゲン』を2023年度から削除し、別の被爆者の体験に差し替えることが大きく報道されています。
広島市教育委員会は、この度、平和教育プログラムを「実相の検証」「発信」「発達段階」「最新の情報」の4つの観点に沿って検証した結果、次の問題点を挙げています。①「実相の検証」漫画の一部を教材としているため、被爆の実相に迫りにくい。②「発達段階」浪曲の場面は、児童の実態に合わない。鯉を盗む描写は、誤解を与える恐れがあり、補足説明が必要となるため、教材として扱うことが難しい。③「発信」ゲンの気持ちを考えることに留まり、教材を通して、自分が平和について考えたことを伝える学習となっていない。
(2023年2月8日、広島市教育委員会学校教育部指導第一課・第二課)
被爆の実相をリアルに伝える作品
『はだしのゲン』の学校教材からの削除には、「時代背景の説明に時間と手間をかけて伝えることが教育の本来の役割」「切り出した場面が分かりにくければ違う場面を使う方法もあったはず」「核戦争の恐れがある今こそ、ゲンの継続採用を求めたい」「広島市議会に市内図書館から『はだしのゲン』を撤去する陳情書が提出されていることが背景にあるのでは?」など様々な意見が本会に寄せられています。
これまで被爆者の皆さんが国内外で被爆の実相を証言してきましたが、高齢化を迎える中で次世代への継承が急務となっています。その意味で核兵器の残酷さと平和の大切さを描いた『はだしのゲン』の果たす役割は大きいと言えます。『はだしのゲン』はこれまで世界で24か国語に翻訳・出版され、国内外にて多くの子どもたちや若者たちに読み継がれてきた実績があります。戦争を知らない世代に被爆の実相をリアルに伝える最適の作品です。
私たちは広島市教育委員会が学校教材に『はだしのゲン』を継続採用することを求めます。
『はだしのゲン』連載開始50周年に寄せて
はだしのゲンをひろめる会は、国内外に被爆の実相と核兵器の非人道性を伝え、核兵器廃絶と平和への思いを継承していくため『はだしのゲン』の普及・読書運動を進める事業を行い、「核兵器のない世界」をめざす運動を発展させることに寄与することを目的(定款第3条)にしている特定非営利活動法人です。2013年のNPO法人設立から10年間の寄贈実績は、プロジェクト・ゲンが翻訳した英語版、ロシア語版を中心に34か国319セットにのぼります。広島市内では国際協力機構(JICA)中国、のぼり平和資料室(広島市立幟町小学校内)、広島県立図書館等にも寄贈しています。
『はだしのゲン』は、「週刊少年ジャンプ」に連載されて今年6月に50年を迎えます。広島が活動の拠点であるNPO法人ANT-Hiroshimaの呼びかけで昨年暮れに50周年記念事業実行委員会を結成し、今年6月3日~4日、広島市内で多彩なイベントを企画しています。また全国各地で記念事業が行われるよう情報発信していきます。
本会では「ゲン50周年」記念として、学校図書館や公立図書館等への普及・寄贈活動に積極的に尽力していく所存です。
――平和活動の一環で数年前より計画――
奈良県保険医協会
奈良県保険医協会は患者住民の生命と健康を守る医療人として平和を守るための様々な活動を展開しています。その一環として、原爆の恐ろしさを第二次世界大戦当時の社会情勢も含めつぶさに描いた「はだしのゲン」(中沢啓治著)を子どもたちに広めるべく、県内小中学校への寄贈活動をスタートしました。
1月12日、奈良市立平城中学校に「はだしのゲン」日本語版ならびに英語版(ともに全10巻)を寄贈しました。同校からは上羅(うえら)和博校長、榧木(かやき)俊哲教頭が応じました。
寄贈にあたって青山哲也理事長は、「戦争を体験した世代が高齢化する中、戦争の悲惨さ、平和の尊さをリアルに描いた『はだしのゲン』は教材としてうってつけだ。ぜひ活用を」と訴えました。上羅校長からは、「同書は図書館に所蔵しているが長年に渡り多くの生徒に読まれ痛んできている。今回の寄贈は大変ありがたい。また本校では平和問題は意識的に位置づけ、修学旅行で戦跡を訪ねたり、戦争体験された方の講演会など行っている」など感謝の言葉がありました。
奈良県保険医協会では、今後も県内小中学校への寄贈活動に取り組んでいきます。
(奈良県保険医新聞2017年2月号より転載)
1. われわれ、世界核被害者フォーラムに参加した者は、アメリカ政府による原爆投下70周年に当たる2015年の11月21~23日に、ここ広島に集った。
2. われわれは、核被害者を以下のように定義する。すなわち、狭義では、原爆の被爆者、核実験被害者、核の軍事利用と産業利用の別を問わず、ウランの採掘、精錬、核の開発・利用・廃棄の全過程で生じた放射線被曝と放射能汚染による被害者すべてを含む。また、広義では、核時代を終わらせない限り人類はいつでも核被害者=ヒバクシャになりうることを認識して、核と人類は共存できないことをあらためて確認した。
3. われわれは、広島、長崎への原爆投下により、日本人だけでなく、日本の植民地支配と侵略を受けたためにその地にいた朝鮮半島、中国、台湾の人々や連合国の捕虜たちも犠牲になったこと、放射線・熱線・爆風で虐殺され、生存者も「地獄の苦しみ」を味わったことを想起した。また、われわれは、被爆者が、侵略戦争を遂行した日本政府の責任を問い、健康と生活の保障を権利として求め、法律で一定の補償を勝ち取ってきたこと、今なお被爆者が、「国家補償」を被爆者援護法に明記することを求め、被爆したのに、被爆者と認定されない者が権利を求めて闘っていること、核兵器廃絶に加え原発再稼働反対・原発輸出反対、原発事故被害者援護を求めて闘っていることを再確認した。
4. われわれは、2013年にオスロ、2014年にナジャリットとウィーンで開かれた「核兵器の非人道的影響に関する国際会議」の結果として、核兵器爆発が環境、気候、人間の健康、福祉、社会に破滅的な影響をもたらし人類の生存さえ脅かし、対処が不可能であるという認識が国際的に共有されたことを確認した。われわれは、核兵器の禁止と廃絶に向けた法的ギャップを埋めることを誓約し121カ国が賛同している「人道の誓約」を歓迎する。また、われわれは、2015年11月初旬には国連総会第1委員会(軍縮)で、「核兵器のない世界を実現し維持するために締結されるべき効果的な法的措置…および規範を実質的に取り扱う」公開作業部会を開催する決議が、賛成135カ国、反対は12カ国のみで採択されたことを支持する。
5. われわれは、ウラン採掘や精錬、核実験、核廃棄物の投棄が、いまもつづく植民地支配、差別抑圧の下で先住民族の権利-先祖代々の土地と関連する諸権利をふくむ-を侵害しながら強行され、被曝を強要されるとともに、環境を放射能で汚染され、人間生活の基盤をも奪われた核被害者を日々増やし続けていることを確認した。
6. われわれは、核の連鎖が環境を放射能で汚染し生態系を破壊して人間をふくむ生物にさまざまな放射線障害を引き起こしてきたこと、またチェルノブイリに続くフクシマの原発苛酷事故の体験から、原発周辺の広大な地域に住む住民と事故処理労働者が被曝させられること、この過酷事故への対処が不可能であること、さらにはグローバルな放射能汚染を引き起こすことを認識した。また、われわれは、「核の軍事利用」と「核の産業利用」が原子力産業を通じて密接につながっていること、さらに劣化ウランを使用した放射能兵器など核の連鎖が全過程で大量の核被害者を生みだしてきたことを認識した。
7. われわれは、核の連鎖があるかぎり放射能災害の発生を防ぐことはできず、増え続ける核廃棄物の処理・処分の見通しは全く立たないうえ、核汚染は長期にわたり、環境の原状回復は不可能ということから、人類は核エネルギーを使ってはならないと認識した。
8. われわれは、東京原爆訴訟判決(1963年12月)が米軍の原爆投下は国際法違反と認定したこと、国際司法裁判所が「厳格かつ実効的な国際管理のもとで、全面的な核軍縮に向けた交渉を誠実に行い、その交渉を完結させる義務がある」と勧告的意見(1996年7月)を表明したことを知っている。この勧告的意見に基づき、2014年4月、核実験の被害を受けたマーシャル諸島の人々の政府が、国際司法裁判所に、9つの核武装国に対して、提訴したことを支持する。
また、さらに、われわれは、核被害者世界大会が核保有国と原子力産業の犯罪責任を追及し(1987年ニューヨーク決議)、また軍産複合体に損害補償の責任を負わせるとしたこと(1992年ベルリン決議)を想起する。さらに、われわれは、「原爆投下を裁く国際民衆法廷・広島」がトルーマンを含む被告たち15名全員の有罪を確定したこと(2007年7月)を確認する。
9. われわれは、核エネルギー政策を推進した国家及び放射能汚染を引き起こした事業者と原発など核施設のメーカーはその株主、債権者が責任を負担することを含めて、加害に対して責任を負うこと、また、原発輸出は人権侵害と環境破壊をもたらす危険があることを主張する。
10. われわれは、国際原子力機関(IAEA)や国際放射線防護委員会(ICRP)が、これまで放射線被曝による被害について過小評価して原発事故などの本当の影響を隠蔽してきたことを弾劾する。また、われわれは、IAEAに与えられた「原子力の平和利用促進」権限の廃止を求める。
11. われわれは、核の利用により、人間の生存の基盤を破壊し、生き物すべての生存を侵害する原因を生み出した者が、軍産官学複合体およびこれを支援する国家であることを指摘する。また、われわれは、これらの軍産官学複合体の構成員の行動が国際人道法、国際環境法および国際人権法の根本原理を侵犯していることを主張する。
12. われわれは、日本政府が、フクシマ事故後も、反省するどころか、適切な事実及び被害調査をせず、被害の実相を隠蔽し矮小化しながら被害者への支援を切り捨てる一方で、原発の再稼動及び海外輸出を行っていることを糾弾し、日本及び世界各地の原発と産業用核施設の建設・運転並びに原発輸出に強く反対する。
13. われわれは、ウラン採掘、精錬、核燃料の製造、原子力発電、再処理を中止し、核の連鎖を廃棄することを求める。
14. われわれは、核兵器を禁止し廃絶を命ずる法的拘束力ある国際条約を緊急に締結することを求める。
15. われわれは、劣化ウランを利用した兵器の製造・保有・使用を禁止することを求める。
16. われわれは、今回の世界核被害者フォーラムを契機として、核被害者の情報を共有し、芸術などを含むさまざまな方法やメディアなどの媒体で発信し、共に連帯して闘っていくこと確認した。
17. われわれは、この世界核被害者フォーラムの成果をもとに以下の世界核被害者の権利憲章要綱草案を世界に発信するため、広島宣言を採択する。
[Ⅰ]核被害者の権利の基礎
2. 何人も恐怖と欠乏から免れ、平和で健康で安全に生きる環境への権利を有する。
3. 人類の各世代は、あらゆる生物の将来世代の利益を損なわないよう、持続可能な社会を享受する権利がある。
4. 国際連合憲章でうたう本来的な人間の尊厳と人民の自決権,世界人権宣言、国際人権規約その他の国際人権文書及び先住民族の権利の宣言など、これらの国際実定法が定める生命、健康と生存に関する諸権利、並びに生成途上にある人類の法の内容をなすべき慣習国際法の原則が存在する。
[Ⅱ]権利
(1)核時代に生きる何人も、現在と将来の核被害を防ぐために以下のことを求める権利を有する。
1. 自然放射線・医療用放射線以外の放射線被曝を受けないこと。
2. 被曝労働を強制しないこと。被曝労働が回避できない場合には、最小化すること。
3. 医療被曝を必要最小限に留めること。
4. 放射線被曝の危険性について、正確な情報を学校教育、社会教育を通して提供すること。情報には放射線被曝にリスクのないレベルはなく、とくに子どもや女性は被曝に対する感受性が高いことを含む。
(2)核被害者は次のことを求める権利を有する。
5. 人格権、健康権を含むあらゆる人権及び基本的自由に対する核被害者の国内法上の権利を認めること
6. 過去、現在と将来の被ばく(被爆・被曝)による健康影響に対する持続的な健康診断と最善の医療の提供を自己負担なく受けること。これには、被ばく(被爆・被曝)2世、3世および将来世代も含む。
7. 核利用の結果もたらされたすべての生命と健康、経済、精神、文化への被害について、加害者による謝罪と補償を求めること。
8. 放射能で汚染された土地、住居、地域社会の環境の回復および地域(民族)文化の再生を求めること。
9. 被ばく(被爆・被曝)状況について、加害者から独立した信頼できる科学的な調査と完全な情報公開を求め、この調査と個人情報に配慮しつつ情報管理とに被害者自身が参加すること。
10. 放射能汚染地への帰還を強制されないこと。被曝地から避難するか被曝地に留まるかの選択の自由が保障されること、いずれの選択をした場合でも、できる限り被曝を避け、健康を守り、生活を維持、再建できる支援を受けること。
11. 放射能汚染で健康が害される環境での労働を拒否すること、拒否後も不利益取扱を受けないこと。
以上
毎年夏、金沢市卯辰山・玉兎ヶ丘の「平和の子ら」像前で平和を願う多くの市民が心をこめて折った折り鶴を持ち寄り、「反核・平和おりづる市民のつどい」を開いてきました。はだしのゲンをひろめる会も同実行委員会の参加団体です。
今年は被爆70年記念として、また石川県原爆被災者友の会結成55周年を記念して、被爆の実相を広く普及させるために7月26日(日)、石川県文教会館ホールにて映画『アオギリにたくして』上映会&ピースライブを開催しました。
参加者アンケートでは、「被爆した女性の被爆後の苦悩、心の葛藤、偏見、差別、悲しみ、ささやかな喜び、色々なことを映画を通して知ることができました。アオギリ二世も見に行こう。広島のアオギリも見に行こうと思います。」「大変感動的な映画でした。原爆の理不尽さとそれに立ち向かう被爆者の思いが伝わってきます。」など貴重な意見が多数寄せられました。この程反核・平和おりづる市民のつどい実行委員会にて報告された「アオギリにたくして」上映会アンケート・まとめを本会ホームページに紹介します。
被爆70周年記念「アオギリにたくして」上映会アンケートの報告
■日 時:2015年7月26日(日)13:00~17:00
■会 場:石川県文教会館ホール
■企画内容 第1部 映画「アオギリにたくして」上映会
第2部 中村里美さんのピースライブ
■主 催 石川県原爆被災者友の会
共 催 反核・平和おりづる市民のつどい実行委員会、平和サークルむぎわらぼうし
連絡先 石川県生活協同組合連合会
■入場者数:400人
■アンケート回収枚数:23枚
1.個人:10人
団体:石川県保険医協会、コープいしかわ、紫金草合唱団、民医連、むぎわらぼうし
2.この映画会をどこでお知りになりましたか。
①新聞などマスコミから・・・0人 ②団体からの案内・・・8人 ③知人から・・・11人
④その他・・・沖縄の写真展(6月)のチラシを見て。
3.映画の感想をお書きください。
・あっという間の2時間でした。「こんな現実が実際にあったのか、わずか70年前の日本で?!」ということを改めて実感し、身震いがしました。あの時の過ちを二度と繰り返してはいけない。若い私たちは経験していない分、伝えていかなければいけない責任を負っていると思います。多くの人々に是非観ていただきたいと思った映画でした。
・たった70年前のことを私はちゃんと知らない。人にもっと伝えていけるように一人ひとりが原爆のこと、戦争のこと、平和を守るために何を守っていけばよいのか、考えていけるように、もっとたくさんの人に観てほしいと思いました。
・試写会と合わせて2回観て、改めてこの映画の訴える声の大切さに気付かされました。同じ被爆者の間でも差別し差別されてしまう現実、悲しさ、そんな大変な目に合いながらもいくつもの障害を乗り越え、語り部として生き抜いた主人公の生き方に心を動かされました。
・小学生の時「ヒロシマ」の映画を観て大変ショックを得ました。その後、何度もヒロシマに関する映画を観てきましたが、今回の映画「アオギリにたくして」は、戦後ずっと被爆者の方が人生の歴史を背負って伝える、語り部の熱く、苦しく、辛い思いを世界の全ての人々に伝えるべく映画として本当に感動しました! 最近出なかった涙が一杯溢れ出るものでした。
・「被爆者が被爆者を差別する」現実があったことは大きな衝撃であり、心に残った言葉でした。原爆の悲惨さを伝えて余りある内容ですね。製作された方々に感謝しなければなりません。
・素晴らしかった。広島の人々の苦しみは私たち被爆していない者の想像を絶するものだった。
・田中節子さん、まさに芽吹いた被爆アオギリのように強く生き抜いてこられた人生だったのだとよくわかりました。小5の娘にも理解できたようでした。娘は学校の図書委員会で「すみれ島」の朗読をするそうで、8/6も平和集会でアオギリの歌(今日の歌とは違う)を合唱するそうです。今日の映画を観れたことで、娘の中に平和への想いや願いの層が少し増えたかな。「この子たちの夏」の朗読劇は、まだ娘は知らないけれど、いつか出会いたいな。今日の映画、被爆後の苦難の人生を生き抜いてきた一人の女性の物語を無名のライターである一人の女性が取材し、形にしていくという「つなげていく」ことの大切さをメッセージとして受け取りました。ありがとうございました。
・ヒバクシャ同士でキズつけ合うのは悲しいなと思いました。もし私が節子さんだと耐えられないなと思いました。(小5)
・語り部の存在を伝え続けることの大切さ、辛い体験を証言した語り部の声を聞くことができて感謝。
・人は誰も皆幸せに生きる権利を持つ、何者にもそれを阻むことは許されない・・・節子と隆志はなぜ幸せになることができなかったのかと考えるなら戦争や原爆がない社会にまで戻らなければならない・・・。声高にではなく静かに、然し心の深くまで届いたメッセージです。観てよかった、みせてもらってありがとうございました。
・もう2度と戦争起こしたらいかんね。70年たった今も辛い人がいるんだもんね。これからも戦争の悲惨さを伝えていかんなんね。
・主人公の心情を中心に描かれていたのが良かった。
・被爆した女性の被爆後の苦悩、心の葛藤、偏見、差別、悲しみ、ささやかな喜び、色々なことを映画を通して知ることができました。アオギリ二世も見に行こう。広島のアオギリも見に行こうと思います。
・原爆体験者は、原爆時の体験はもとより、それ以後が壮絶な戦いであったことがよくわかった。被爆者が被爆者を差別する、そんな状況を作りあげる、それが戦争だ。
・大変感動的な映画でした。原爆の理不尽さとそれに立ち向かう被爆者の思いが伝わってきます。
・試写も観ましたが今回の方が良かったです。
・本日は被爆者の方の新たなメッセージとして「アオギリのように生きていかなければならない」という言葉が心に残りました。
・静かであたたかく、力強い映画でした。観てよかったです。
・沼田さんの人生をじっくりとたどらせていただき、とても心揺さぶられました。
・罪のない人たちが犠牲になる戦争は絶対に許せない。二度と繰り返してはいけないことと改めて思いました。風見しんごさんのファンなので見れて嬉しかったです。
・被爆して、差別と偏見の中で被爆者は生きてきた。放射能でどんな影響が出るかわからない、と差別され、どんな影響が出るかわからないと不安を感じ、大丈夫心配ないと言われ、どういうことかわからなくなりそうだけど考えてきた人。
・感動した。
・いい映画でした。
4.ピースライブの感想をお書きください。
・歌いやすい曲、心に迫る朗読がとーっても良かったです。やっぱり歌は会場の皆さんと一体になれる素敵な手段だなと思いました。歌を覚えていろんな場面でいろんな人々に歌って広めたいなと強く感じました。幸せな時間をありがとうございました。
・歌もギターも心に強く響き、とても良かったです。CDを買い自宅でも聴いています。
・映画と連動するものだっただけに、多くを語らずともよく理解できるもので、静かに聴くことができました。
・歌でも平和を伝え続けていけることに心をうたれました。
・体験の話、歌を通じて~、広島や長崎で起きたこと、伝えていきます。
・中村さんの想いが伝わった。
・プロデューサーの中村さんや伊藤さんの言葉は、わかりやすく重みがありました。中村さんの「伝えなきゃ」「伝えたい」という使命感がひしひしと伝わってきました。歌も良かったけど朗読も良かったです。
・歌の力を実感しました。メッセージが良く伝わりました。
・原爆体験を21歳の時に聞き、その思いを29年間行動されてきた里美さんの優しい歌声と強いメッセージを感じました。
・うちの娘(小4)が学校で習ったと言っていつも口ずさんでいる歌が、まさかここで聴けるなんて!?「平和の子ら」の歌です。どの歌ももっと多くの人に聴いてもらいたい。いい曲です。
・体験していない世代が、受け止めて、伝えることがこれから本当に大事になっていると思った。
・草の根の活動が支えていることがよくわかった。
・こういう取り組みを続けてほしい。ここにいると勇気が出るが、この場で終わらせてはいけない。
・内容的には良かったが、映画が長かったのでこの部分はまた別の機会に(プレ企画etc.)回すのがよかった。第一部終了後、帰った人が多く残念でした。
・素敵な歌声をありがとうございました。
・一緒に歌えて良かったです。
・久々に歌いました。
・「でえげっさあ」が2人しかいなくて残念でした。
5.今後の平和の取り組みでしたいこと、企画してほしいことをお書きください。
・子どもたちへの絵本(平和に関する)の読み聞かせ。
・子どもたちへの伝言、過去をきちんと伝えること。学校での取り組みが鍵だと思う。
・若い人、子どもたちをターゲットにしたもの。
・アオギリ二世を小学校に植えたい。8月6日の小学校の登校日がなくなってしまったことを残念に思う。
・アオギリの木を植えていく活動はいいなと思いました。(小5)
・今回のようにいろんな人、年代の人たちが気軽に参加できる企画をお願いします。
・今日みたいな上映会や伝えていく機会を作ってほしい。
・ピースライブはいいと思います。朗読会なども。吉永小百合さんの朗読会をライブで聴いてみたいです。
・広告、宣伝、多くの人の目に見える形で平和を考えたい。バスとかフォーラスなどの大型ディスプレイとか。
・映画、演劇、その他。
・卯辰山よりも天気を気にせずに集まれるので、またここでこの様な会があるといいなと思いました。
6.平和へのメッセージなどお書きください。
・戦争に「ヒトゴト」ではなく、危機感を持ちながら今後の日本のいく先に関心を向け続けたいと思います。考えることを、声をあげることをやめたくない。何気ない日常生活を笑って過ごせることが何よりの「平和」だと思っているから。
・子どもたち、孫たちにずっと平和な世の中を手渡し続けたいです。
・平和の大切さ、周りの人たちに私なりに伝えていきたいです。
・平和のために自分ができることを続けていきたい。
・自分でできることを小さいことでもいいので何でもしたい。まずは子どもたちに話していきます。
・あなたも私もかけがえのない大切な存在、と世界中の人々が思えたら争いはなくなると思います。
・自分のできることはちっぽけだけど、あきらめず、卑屈にならず、人間を信じて、平和な世界を求め、声をあげ、種をまき、まず身近な人との会話の話題にしていきたいと思います。無理せず、気負わず、細くても長く続けていきたいと思います。
・絶対に戦争させない。全ての人が平和の中で幸せに生きられるように。
・(広島でさえ平和を考える機会が減っている)戦争の悲惨さ、原爆のもたらした被爆の現実を未来に伝えよう。過去を直視できない人間に未来はない。
・平和が続くために・・・ 原発、核兵器、戦争は絶対なくそう。
・平和憲法の重み、意義、その力を広めていきたいです。
・司会の小原さんも良かったです。その言葉に込められた訴え、戦争を許さない。安倍を許さない!子どもたちのために、心を込めて。
・憲法違反と考えられる集団的安全保障法案は憲法裁判にかけることはできないのか。一歩一歩戦争の雰囲気に近づいている気がする。
・「アベ政治を許さない!」戦争法案は廃案にしよう!
・戦争法案反対!原発再稼働に反対!みんなで力を合わせて頑張りましょう!未来の子供どもたちのために・・・!
・憲法を守り平和を守り続けたいです。
・平和を希うすべての人たちで力を合わせ、できる限りのことをして安保法案を何としても廃案にしましょう。
・この法案を止めましょう!
はだしのゲンをひろめる会も参加している反核・平和おりづる市民のつどい実行委員会では、毎年8月に石川県庁19階展望ロビーにて、日本原水爆被害者団体協議会作成の「ヒロシマ・ナガサキ 原爆と人間」写真パネルや「はだしのゲン・紙芝居」(全5巻 絵と文16枚)を展示しています。
今年も8月3日から17日まで、パネル展示を行いました。展示会場のテーブルに置いた「原爆と人間展」感想ノートへの寄せ書きを紹介します。
2015年「原爆と人間展」感想ノートより
◇開催期日 2015年8月3日(月)~8月17日(月) 15日間
◇開催場所 石川県庁19階展望ロビー
◇主 催 反核・平和おりづる市民のつどい実行委員会
(構成団体)石川県原爆被災者友の会、石川県青年団協議会、原水爆禁止石川県民会議、原水爆禁止石川県協議会、核戦争を防止する石川医師の会、はだしのゲンをひろめる会、石川県生活協同組合連合会
◇事 務 局 石川県生活協同組合連合会
〇「焼き場の少年」のパネルを見て、涙がこみ上げてきました。子どもたちにこんな思いはさせたくない。
〇貴重な活動だと思います。がんばってください。
〇戦争は絶対いけない。皆んな同じ人間なんだから。仲良くしよう!
〇今日全校集会でおりづる歌って帰りました。
〇戦争なんかなければいいのに・・・と思う! どくしょかんそうぶんは、「ぎんがてつどうのよる」をよみました。せんそうはうれしいの反対です。
〇戦争は次の世代まで子どもの私が受けついで行かないといけないと思いました。
〇変形ヅルの作り方ありがとうございます。
〇広島の人は14万人死んだ。
〇「はだしのゲン・紙芝居」の展示の仕方について助言(①~⑯ コの字で展示)がありました。
〇こんなせんそうがあったのは、しらなかったです。だからいまのじだいにうまれてよかったです。(小学2年・女)
〇戦争はとてもこわいと思いました。黒い雨がふってきたらとても残酷だと思いました。今が幸せだと思いました。(小学6年・男子)
〇外の夜景がとてもきれいでした! 戦争はいけないことなので、これ以上、何も起こらないといいと思いました。
〇たまたま拝見した新聞記事で、この原爆写真展のことを知り来庁しました。生々しい写真の数々に胸が痛くなりました。(山形市 40代・男性)
〇戦争の写真を見て、ちっちゃい子供や母がやけこげて死んでいたりして、とってもかわいそうでした。あと戦争はとってもつらいことだということがわかりました。(野々市市 10代・女性)
〇久しぶりに「はだしのゲン」を見ました。当時の人はなぜ戦争に遭わなければならなかったのかと思うと切ないです。(白山市 30代・男性)
〇わたしはせんそうを知りませんが、人って大切で、助け合って生きているんだなぁ、と思いました。泣いてしまいます!!
〇あらためて核兵器を使うことは二度とあってはならないと思いました。ありがとうございました。(金沢市 男性)
〇テレビで見ているとは違う沢山のことば、私もつるを折って来ました。(野々市市 女性)
〇少し残こくな場面もありましたが、原爆はあってはならないということがよく分かりました。そして、なによりも戦争はあってはいけないということが分かりました。(福島県 11歳・男子)
〇毎年、ご苦労さまです。後世、次世代に伝えていくためにもこのような展示は大切ですね。暑さに負けず頑張ろう。
〇このマンガ「はだしのゲン」が学校へ入って、原爆症がうつるといってシカトする遊びが流行した。少し中身が過激です。指導する人のサポートがいる。
〇久しぶりに県庁の屋上にあがってきました。折鶴を作ってあったのですけど持ってきてよいかわからず、この会は何日まで展示しているのですか。ディケアのプラトーで見学に来ました。昔を思い出します。本当にご苦労さまです。今朝のニュースで(被爆者の)西本さんのことを見ました。8月長崎に行けず申し訳ありません。
〇「はだしのゲン・紙芝居」をみました。ボランティアごくろうさまでした。平和をまもりたいですね。
〇戦争のない世界を望みます。平和な世界が続きますように・・・
〇せんそうはいやです。
〇胸が痛くなりました。せんそうはいや!
〇戦争はゼッタイにしてはいけないと思います。このような展示、もっと普及してほしいと思います。学校、地域など・・もっともっと
8月12日付の新着情報で紹介したニュージーランド・ローズバンク法律事務所の西村純一弁護士は30数年前は神奈川県の中学校教師でした。西村氏から当時の「中学1年・D組・学級通信」を提供いただきました。『はだしのゲン』が中学生の平和教育の教材としてどのように使われていたのか、よくわかりますね。
1982年6月30日 中学1年・D組・学級通信「道」№2より
☆今、D組では、「はだしのゲン」をみんなで読むとりくみがおこなわれています。戦争や原爆が、人々に与える悲惨さを、わかりやすく、しかも、おもしろく描いた、すばらしい作品です。先生の少ないボーナスをはたいて4冊、みんなのカンパで3冊を買い、なんとか、全巻そろいました。しかし、みんなで読むには、すくなすぎるので、早くまわして下さい。何度も読み返すねうちのある本なので、自分で買える人は、買って下さい。(そして、みんなにまわしてもらえればありがたい)
☆今日から、道徳、HRの時間を使って、戦争や原爆のことについて勉強してゆきます。次のようなことに注意しながら「ゲン」を読んで下さい。
①戦争中の食べものは?
②なぜ、戦争がはじまれば、戦争に反対できなくなるのか
③当時(とうじ)、学校では戦争をどのように教えていたか
④疎開(そかい)って何、どんな生活だったか
⑤ゲンの兄、浩二はなぜ海軍をみずから志願(しがん)したか
⑥戦争中、天皇はどのように思われていたか
⑦親は自分の息子が死んでいくことを、ほんとうに名誉と思っていたか
⑧特攻隊(とっこうたい)とは何か・・など。