『はだしのゲン』連載開始50周年に寄せて
神田 順一
小学1年で被爆した中沢啓治氏は1973年6月から週刊『少年ジャンプ』に漫画「はだしのゲン」の連載を開始しており、今年6月で連載開始50年となる。広島のNPO法人ANT-Hiroshimaの渡部久仁子さんから私が事務局を担当しているNPO法人はだしのゲンをひろめる会(注)や「はだしのゲン」翻訳ボランティアグループのプロジェクト・ゲンと連携した50周年記念事業の提案があり、昨年暮れに実行委員会を結成し準備を進めている。
実行委員会では記念事業として、今年6月3日~4日、広島市内で「はだしのゲン」上映会やフィールドワークなど、多彩なイベントを検討している。また広島だけでなく全国各地で記念事業がおこなわれるよう情報発信することにしている。
2012年12月に設立したはだしのゲンをひろめる会は、これまで原水爆禁止世界大会・国際会議や核兵器廃絶国際医師会議(IPPNW)世界大会等の海外参加者への『はだしのゲン』『Bear foot Gen』の寄贈を中心に活動してきた。ところがコロナ禍で国際会議が中止又はオンライン開催となったため、2020年からは「平和のための博物館国際ネットワーク」や「認定NPO法人ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会」との連携により寄贈活動を続けている。
今年は「ゲン50周年」記念として、石川県内の公立図書館(32館)への「はだしのゲン」所蔵・寄贈希望アンケートや金沢市香林坊のミニシアター「シネモンド」に映画「はだしのゲン」(実写版、アニメ、ドキュメンタリー)の連続上映を働きかけることにしている。
私はこれまで広島を4回訪問している。1回目は2013年6月の「ゲン40周年」記念事業及び平和首長会議事務局・訪問、2回目は2014年6月、広島平和文化センター及びJICA中国に「ゲン」寄贈運動への支援要請、3回目は同年8月の原水爆禁止世界大会、4回目は2016年2月のプロジェクト・ゲン結成20周年記念の「はだしのゲン」翻訳者の集い及び平和首長会議事務局・訪問である。6月の「ゲン50周年」で5回目となる。今から記念事業の成功と全国への情報発信が楽しみである。
(NPO法人はだしのゲンをひろめる会理事・事務局長)
【注記】はだしのゲンをひろめる会は、「国内外の次世代に対し、原爆被害の実相と核兵器の非人道性を伝え、核兵器廃絶と平和への思いを継承していくため『はだしのゲン』の精神を普及する事業を行い、『核兵器のない世界』をめざす運動を発展させることに寄与することを目的」(定款第3条)にしている特定非営利活動法人です。NPO法人設立から10年間の寄贈実績は、プロジェクト・ゲンが翻訳した英語版、ロシア語版等を中心に34か国に319セット(日本語版82セット、英語版164セット、ロシア語版22セット、中国語版6セット、アラビア語版45セット)にのぼっています。