能登町の小中学校に『はだしのゲン』を寄贈
核戦争を防止する石川医師の会
核戦争を防止する石川医師の会(以下、反核医師の会)では、核戦争よる被害の実相を伝える図書として漫画『はだしのゲン』(以下、ゲン)を石川県内の小・中学校に寄贈する活動を2011年から各市町教育委員会の協力を得て実施しており、これまで寄贈済が14市町、寄贈不要が3市町、未寄贈が2市町(珠洲市、能登町)です。
ゲンは被爆の実相を伝えるだけでなく、作者・中沢啓治氏の「踏まれてもまっすぐに伸びる麦のように、強く生きよう」、幾多の困難を乗り越える姿が描かれています。反核医師の会では元旦の能登半島地震で大きな被害があった子どもたちを元気づけてくれるものと、能登町教育委員会に働きかけて今回のゲン寄贈が実現しました。
能登町教育長との懇談
6月10日能登町教育委員会を訪問し、小学校5校に日本語版を、中学校4校に日本語版と英語版を、町立中央図書館に日本語版をそれぞれ寄贈しました。英語版はNPO法人はだしのゲンをひろめる会(以下、ひろめる会)の提供です。
寄贈式には、教育委員会から眞智富子教育長、河崎恭子事務局長、反核医師の会から横山加奈子副代表世話人、小野栄子事務局員、ひろめる会から神田順一事務局長が出席しました。
眞智教育長からは「子どもたちはゲンの日本語版と英語版を対比して見ることができるので興味を持ってくれると思う」「非核三原則にある通り、恒久的平和を子どもたちに引き継いでいきたい」「私は中学生の修学旅行で広島に二度引率したことや広島原爆資料館の派遣事業を利用して被爆者を迎えてお話していただいたこともある」「ゲンに触れることにより、平和を考える機会になることが期待できる」「子どもたちはそれぞれの発達段階に応じた読み方をすると思う。そこは子どもたちの力を信じたい」「教員にはゲンをどのように活用できるか考えてもらいたい」などゲンの寄贈を受け入れた思いをたくさん語っていただきました。
私たちからはゲンの利用方法について、保健室に置いていたらよく読まれていたとか、石川県立図書館にもゲンを寄贈したが、配置場所が民族差別等の社会科学分野であり、子どもたちが閲覧できにくいのは問題と指摘したところ、教育長からは「各学校には子どもたちが手にとりやすいコーナーに置くように伝えたい」と話されました。
全自治体への寄贈が目標
反核医師の会では、県内全ての自治体へのゲン寄贈を目指しており、今後は未寄贈の珠洲市、寄贈不要と回答された3市町(小松市、津幡町、羽咋市)への働きかけを進めていきます。さらにこの取り組みを開始して13年経過しているため、これまでの寄贈先での利用状況調査や2巡目の寄贈活動も検討しています。
昨年、都道府県立図書館へのゲン所属・寄贈希望アンケートでたくさんの寄贈実績があったひろめる会では、今後は県内の公立図書館へのアンケート活動を検討しています。 (まとめ 神田順一)