白山市・光野中学校、鳥越小学校に『はだしのゲン』を寄贈

白山市・光野中学校、鳥越小学校に『はだしのゲン』を寄贈

  核戦争を防止する医師の会では、漫画『はだしのゲン』(全10巻)を石川県内の小中学校に寄贈する取り組みを始めて4年目に入り、寄贈先は金沢市、野々市市、内灘町、七尾市、能美市、輪島市、中能登町の小中学校63校へと広がりました。

 今年、平和首長会議に加盟した白山市への寄贈を計画し、白山市教育委員会を通じて小学校19校、中学校9校への寄贈希望調査を実施しました。調査の結果、『はだしのゲン』を所蔵していなかった学校は3校、そのうち、光野中学校と鳥越小学校の2校から寄贈希望が寄せられ、11月5日に各学校に寄贈してきました。

光野中学校

光野中学校・吉川滋校長に寄贈する白崎良明反核医師の会代表世話人(右)

  光野中学校では、以前所蔵していた『はだしのゲン』は多くの生徒に愛読され、ぼろぼろになってしまったため、廃棄されたそうです。そこで今回、寄贈を希望されたとのこと。近年の状況としては、「広島への修学旅行」は費用の面で難しく、取りやめとなったこと、石川県で広く行われてきた「8月6日の全校登校日」は、毎年、北信越大会が重なってしまうため実施されていないこと等をお聞きしました。

 自主・自立を教育目標に掲げ、「自問清掃」を実践している光野中学校。今年の全日本中学校バレーボール選手権大会で初優勝し、生徒さんの活躍も眩しい限り。この機会に、『はだしのゲン』を多くの生徒さんに読んでいただき、平和教育に役立てていただきたいと、吉川滋校長にお願いしてきました。

鳥越小学校

鳥越小学校・松田真由美校長への寄贈で県下65校目となる

 次に訪問したのは、正面には鳥越城址、校庭からは白山をのぞむ鳥越小学校です。この豊かな環境で、先生と生徒さんがのびのびと生活しているのが印象的でした。校舎に入って早々「神田さ~ん!」と、同行した神田順一さん(はだしのゲンをひろめる会理事、核戦争を防止する石川医師の会事務局)を呼ぶのは、今年で結成20周年を迎えた「でえげっさあ」の川崎正美先生。松田真由美校長、司書の吉田晴子先生にも同席いただき、和やかに懇談が進みました。

 司書の吉田先生がおっしゃるには、戦争の恐ろしさが伝わりやすいと思われる写真集等は、小学生にとってはその意味するところが理解できず、ふざけて見てしまう子も多いそうです。一方、『はだしのゲン』をふざけて読む子は一人もいなかったと言います。『ゲン』にはストーリーがあり、辛い思いをしながらも仲間と助け合って生きていく姿に、子どもたちは惹かれるのではないかとおっしゃっていました。

 なお、鳥越中学校では、広島への修学旅行が行われており、事前学習では必ず被爆証言を聞く時間を設けているそうです。また、平和記念公園のなかには鳥越中学校が寄贈したベンチもあるとのこと。生徒さんたちは、そのベンチが見学者や市民に愛用されているのを見るのも、楽しみにしているのかもしれませんね。

 来月19日は、『はだしのゲン』の作者・中沢啓治さんの3年目の命日にあたります。中沢さんが亡くなられてから、この間、松江市教育委員会による小中学校の閲覧制限、秘密保護法や安保法制の成立、石川県内では育鵬社の歴史教科書が採択されるなど、中沢さんの遺志に逆行するような流れが次々と生まれていることが残念でなりません。それでも、子どもたちの心に平和の種を撒く「ゲンの寄贈運動」は、数年後、数十年後に花開くことを信じて、地道にコツコツと続けていきたいと思っています。

 

(鳥越小学校図書室・キャプション)

司書さん

   鳥越小学校では、図書室の利用が多いのが特徴。今年4月からの、生徒一人あたりの平均貸出数はなんと107冊。校長先生は、「近くに娯楽施設が無いこともあるけれど、司書の先生がとても頑張っているのです」とおっしゃっていました。図書室も見せていただきましたが、「本を読みたい」「ここでゆっくり過ごしたい」という思いが自然と生まれてくるような、雰囲気の良い楽しい図書室でした。

図書室

◎本稿は核戦争を防止する石川医師の会からの寄稿文です。

 

はだしのゲン・紙芝居

出版物の紹介


はだしのゲン
『わたしの遺言』
 中沢啓治 著

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