原水爆禁止2024年世界大会・国際会議 参加報告
被爆者と共に、核兵器のない平和で公正な世界を
人類と地球と未来のために
江守 道子
8月3日・4日広島で開催された原水爆禁止世界大会・国際会議の1日目を、事務局の大田健志さんと共に参加。「被爆者と共に、核兵器のない平和で公正な世界を-人類と地球と未来のために」のテーマを掲げ、高らかに開会宣言され、海外代表の紹介や議長団の紹介がされました。
最初に主催者の運営委員会共同代表、野口邦和氏から「高齢化した被爆者が願う、生きている間に核兵器のない世界の実現に向け、核兵器禁止・廃絶を求め、草の根からの国際的な共同行動“平和の波”を全国から世界に向け、核兵器の禁止、廃絶の流れを促進する、そして政府に核兵器禁止条約参加と平和外交に迫る」という力強いメッセージが伝えられました。その席で、ベトナム国家主席、アイルランド大統領はじめ、広島、長崎市長など国際社会からも多くの連帯を示すメッセージが読み上げられました。
第一セッション「被爆者の声を世界に」
第一セッション「被爆者の声を世界に」では、被爆者からの現状や闘いの報告。日本被団協事務局長 木戸季市氏は5歳で被爆し、命を取り留め、戦後、原水禁運動に携わり、「原爆は人間として死ぬことも、人間らしく生きることも許さない絶滅だけを目的とした“狂気の兵器”である。そして、岸田首相は8割近い国民が“核兵器禁止条約に署名批准せよ”という声を無視。」しかし「日本の現在、未来を決めるのは首相ではない、国民である」という力強い言葉が述べられました。また、朝鮮半島被爆者である朴貞順氏は広島へ行けば仕事があると一家で移り被爆。倒壊した家からはい出て、翌年帰国したが住むところもなく家族はバラバラになり、さらに1950年に始まった朝鮮戦争で、2度目の戦争を体験。「戦争は反対、核兵器は絶対に使ってはいけない」と強く訴えていました。
マーシャル諸島代表のアバッカ・アンジャイン・マディソン氏は「アメリカは13年間に67回の原水爆実験を行い、世界で最もガンの発生率が高い国の一つになった」と健康被害を報告。また、広島・長崎で放射性物質を含んだ「黒い雨」を浴び、健康被害に苦しみながら「被爆者」として認められない人々が、今なお被爆者健康手帳の交付を訴えて裁判を闘っている報告もありました。
第二セッション「核兵器のない平和で公正な世界を」
第二セッションでは「核兵器のない平和で公正な世界を」をテーマに、アメリカの平和・軍縮・共通安全保障キャンペーン議長のジョセフ・ガーソン氏が、ソ連のウクライナ侵攻、イスラエルのガザ地域におけるジェノサイドを例に、世界はかってない危険な状況にあるが、全米のキャンパスでは学生たちがガザでのジェノサイドを止める大規模なデモやキャンプを行い、アメリカでも新しい世代から平和運動家が誕生する希望を報告。
核軍縮キャンペーン(CDN)事務局長 ケイト・ハドソン氏はZoomを通して、ロシアのウクライナ侵攻がロシアとNATO間の戦争に発展する可能性やイスラエルがガザでパレスチナ人を大量に殺戮している現状に、どうすればこれらの戦争を終わらせ、拡大を防げるかを報告。ただし、現実はNATOサミットで核戦略の近代化を推進し、軍事費も増加の一途をたどっていると懸念。イギリスではアメリカが核兵器を持ち込もうとしているレイクンヒース空軍基地で、ピースキャンプを実施し、世論の大きな支持を得て多くのメディアでも取り上げられ、今後も市民運動を通じて核兵器廃絶に取り組んでいく決意を述べられました。
第三セッション「市民社会の連帯と運動交流」
第三セッション「市民社会の連帯と運動交流」では、アメリカのレックス・アレックス氏が登壇。ニューヨーク州立大学を卒業したばかりの、この若い青年が前述のガーソン氏が紹介した一人だったのです。
ピースアクション・ニューヨーク州立大学ボイコット、投資撤収、制裁キャンペーンの代表である彼は、今ガザで起きているジェノサイドに抗議し学生活動家たちが団結し「イスラエル軍に製品を供給している兵器企業やテクノロジー企業との提携、投資をやめるよう大学に要求。座り込みや学内キャンプなど数百人の学生が集まり声を上げ、全米70か所以上に行動が広まった」と力強く発言し、声を上げる若者に会場からひときわ大きな拍手が沸き起こりました。
漫画『はだしのゲン』寄贈を呼びかけ
その後、私は、「はだしのゲンをひろめる会」を代表し、漫画『はだしのゲン』の寄贈運動を報告し、また希望者への声がけを行いました。アレックス氏をはじめ、数件の寄贈申し込みがあり、これからも「はだしのゲン」が核兵器の非人道性を世界に発信し続けることを心から願ってやみません。
(核戦争を防止する石川医師の会代表世話人)