【総会決議】ロシア連邦のウクライナ侵攻に対する抗議文

ロシア連邦のウクライナ侵攻に対する抗議文

ロシア連邦大統領
ウラジーミル ウラジーミロヴィチ プーチン 閣下

貴国によるウクライナ侵攻の蛮行に強い憤りと深い悲しみを表明し、即時停戦を求めます

 第一次、第二次の大戦で多大の人的、物的被害を経験した人類は戦争が何をもたらすかを学び、深い反省のもと国際平和機構である国際連盟、国際連合を創設しました。

 国際連合の常任理事国である貴国が戦争を仕掛けたことに国際社会は絶望しています。自らが望む他国の領土を武力で奪い取ることに国際社会が屈すれば、私達の住む美しい地球はたちまち弱肉強食の動物の世界と化します。しかし動物は徒党を組んで闘う、ということはできません。兵器を製造し、ましてやそれを使って敵を大量虐殺することもできません。我々が第二次大戦で経験したように、人間は自らに与えられた様々な能力を破壊に向けて使う時、鬼畜という言葉では表現し切れない凄惨な事態を引き起こします。

 2月24日、ロシア軍のウクライナへの侵攻以降、特にキエフから撤退した後の近郊の村や町での目を覆うばかりの戦場の様子は、インターネットやスマートホン、テレビ等を通じて世界中に配信され、我々は日々、多くの映像を観ることとなりました。多大の血と涙を吸い込んだ大地に眠る人々の怨念や、故郷を追われざるを得なかった住民の絶望、怒り、苦しみ、悲しみを同じ時代を生きる人間として看過することはできません。21世紀の情報や映像の時代は、膨大な資料を後世に残します。貴国がウクライナで行った蛮行の数々は国際社会でしっかりと記憶され、将来に亘って国内外の善良なロシア人を苦しめることになるでしょう。

ソ連の時代、北半球全域に放射能汚染をもたらしたチェルノブイリ原子力発電所の事故を経験した貴国が、ウクライナの原子力発電所や核施設を攻撃したことに強い憤りを覚えます。世界で唯一核被害を経験した国―日本。我が国の核被害者はアメリカへの怨讐を超えて、人類が二度とこのような悲劇を繰り返さないことを願い、世界各地に赴いて自らの恐ろしい、辛い体験を語る草の根運動をつづけてきました。

 原爆被害の実相と核兵器の非人道性を告発するマンガ「はだしのゲン」の国内外への普及を目的として活動している我々「はだしのゲンをひろめる会」は、貴国の核脅威をあおる発言に強い危機感を抱いています。近い将来、核被害者の努力が報われる世界が実現することを心から願うものです。

 刻一刻、戦闘状態が続く限り多くの尊い命が失われています。命をかけて戦う両軍の兵士たち、ミサイル攻撃や銃弾で大切な人を亡くし、自らも負傷した人、亡くなった幼子を抱えて逃げ惑う母親。親とはぐれて大泣きしながら歩いている幼い少年。この3か月の間に大切な故郷を破壊され、日常を奪われ、避難民とならざるを得なかったウクライナの市井の人々の悔しさや苦しみを想像してください。ウクライナ側のみならずロシア兵もまた、数多くの死傷者が出ているという報道に接し、この理不尽で無益な戦争の即時停戦を強く求めます。

2022年5月29日

特定非営利活動法人 はだしのゲンをひろめる会 10回総会

 

はだしのゲン・紙芝居

出版物の紹介


はだしのゲン
『わたしの遺言』
 中沢啓治 著

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