私とこの歌「広島 愛の川」(中沢啓治作詩/山本加津彦作曲)

私とこの歌「広島 愛の川」

川本咲枝(広島・TFコーラス)

 私は合唱好きで、教職を退職後、お誘いがあってすぐに、TFコーラスに入り、平和や原爆の歌など、歌ってきました。毎年広島では、8月6日の夕方に灯篭流しが行われます。その献灯式で歌われている歌が「広島 愛の川」(中沢啓治作詩/山本加津彦作曲)でした。

 「はだしのゲン」の作者・中沢啓治さんの遺作の詩に作曲家の山本加津彦さんが曲をつけられた歌です。広島愛の川プロジェクトと称して歌い続けておられ今年で10年目、私も毎年参加しています。

 原爆ドームの対岸の親水テラスで行われ、子どもから大人までたくさんの人で歌います。前に並ぶ子どもたちと一緒にこの歌を歌うと、川や風までもが皆を見守ってくれているような気持ちになります。被爆80年の今年は特に感慨深いものがあります。

 現役時代のことです。学級文庫に、漫画「はだしのゲン」を置いていると、児童が争って読んで、ぼろぼろになり、転勤の度に買い替えました。多分4セット以上は買い替えたのではないかと思います。

 この漫画は、広島の子どもたちの平和教育にすごく貢献していると思います。近頃、広島の平和教育から、「はだしのゲン」が外されようとしていることに危機感を感じています。中沢さんが残したこの歌も、本当に爽やかな平和への願いのこもった歌だと思います。これからもこの歌を大切に歌い続けていきたいと思っています。

◎「うたごえ新聞」2025年7月28日号より転載しました

 

はだしのゲン・紙芝居

出版物の紹介


はだしのゲン
『わたしの遺言』
 中沢啓治 著

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