今年のノーベル平和賞を日本被団協が受賞することにつき、NPO法人はだしのゲンをひろめる会の白﨑良明理事長及び浅妻南海江前理事長が北陸中日新聞に投稿したところ、「発言欄」に相次いで掲載されました。本会ホームページに転載・紹介します。
北陸中日新聞2024年10月29日「発言欄」
平和賞の被団協 心から敬意
白﨑 良明(金沢市・医師・81歳)
日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞!思わず連れ合いと万歳した。国連で核兵器禁止条約が制定された2017年の核廃絶国際キャンペーン(ICAN) のノーベル平和賞受賞に続く快挙だ。
「石川県原爆被災者友の会」元会長の西本多美子さんはじめ、いのちをかけた世界各国での被爆者証言活動が被爆の実相の理解を広め、受賞につながった。皆さんの継続された努力に心から敬意を表したい。私も若い世代に被爆の実相を理解してもらうために漫画『はだしのゲン』を県内小中学校へ、世界に向けてはロシア語版、英語版などの寄贈を行ってきた。
核保有国のロシア、イスラエルが戦争を拡大し、核兵器使用の危機がある中で国際的に核戦争防止、核兵器廃絶に向けての取り組みが望まれる。日本政府には早期に核兵器禁止条約の署名・批准をするよう、まずは来年3月予定の核兵器禁止条約締結国会議にオブザーバー参加することを求めたい。
〈NPO法人はだしのゲンをひろめる会理事長〉
北陸中日新聞2024年10月23日「発言欄・モーニングサロン」
被 爆 証 言
浅妻 南海江(金沢市・主婦・82歳)
中日春秋に田中熙己(てるみ)さんの言葉が引用されていました。「本気で思い出すと、声が出なくなる。感情を切り離せばうまく話せる」。被爆体験を聴くたびに皆さんの心の内を想像します。体験した恐ろしいこと、つらいことを言葉にしなければ原爆の恐ろしさは伝えられません。
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)のノーベル平和賞受賞は、長年にわたる被爆した方々の地道な国内外での証言活動のたまものです。原爆投下を語るとき、米国への憎悪を拡散するのではなく、核兵器廃絶を人類共通の課題として主張することが、人々の心を動かします。証言を聞く私たちは共鳴するだけでなく、被爆者の体験を疑似体験として想像することが大切だと思います。
漫画『はだしのゲン』で主人公のゲンは言います。「日本人は広島、長崎の犠牲に感謝せんといけんわい。安心して眠れる戦争のない世の中にしたんじゃけぇ」「いや、世界中の国々も広島、長崎に感謝せんといけんわい。核兵器の恐ろしさをしったんじゃけぇ」
想像力、これこそが人々が幸せに暮らせる平和の原点であると思います。
(前・NPO法人はだしのゲンをひろめる理事長)