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 10月下旬に関東地方の高校生から「はだしのゲンをひろめる会」HPを通じて、以下の相談事項がありました。

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 今私たちは戦争と平和についての学習を行っており、今月上旬には広島を訪れ、被爆者の方のお話や現地の高校生とのディスカッション、戦争に関する場所の来訪をはじめとして現在も自主的に平和学習を進めている次第であります。そしてその集大成として、フロリダの高校生と留日の外国人大学生に対して「No More HIROSHIMA」「No More War」をテーマに5分ほどのプレゼンテーションを英語で行う予定です。

 私たちからのお願いは、ひろめる会様のホームページに載っている記事やはだしのゲンの漫画の表紙等の一部をプレゼンテーションに使わせていただけないかということです。特に漫画については、外国の方も手に取りやすいイラストである上に翻訳がされているため、戦争の記憶をリアルに伝える上で私たちのプレゼンには欠かせない要素と考えております。

 私たちとしましては、戦争から遠のいた時代の若者にも現実味を持って平和について考えてもらうため、最低でもキャラクター、そしてゲンの紹介は実際のイラストを通じておこないたいと思っております。(中略)

 つきましては、はだしのゲンに関して、何か紹介をするための手立てはないかとご相談させていただきたく存じます。私たちは平和について大きな貢献ができるわけではないですが、決して無力ではないと信じております。

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 この相談事項につき、「はだしのゲン」著作権代理店の(株)日本ユニー・エージェンシーに問いあわせたところ、高校生たちの使用目的を考慮して著作権表示を行うことを条件に無償で「はだしのゲン」画像の使用を許諾いただき、著作権表示方法も丁寧にアドバイスいただきました。

 高校生たちが英語で作成した平和学習パンフレット(A4判 9枚)の中で「はだしのゲン」を紹介したページを本会HPに公開します。次世代につなぐ大事な取り組みに感謝・感激しています。

 印刷用 2.11MB:FOR THE NEXT GEN 修正版

 金大祭・戦後80年企画・上映会

「はだしのゲンが伝えたいこと」アフタートーク

映画監督・石田優子

 

映画上映の後、講演する石田優子さん

 はじめに

 映画「はだしのゲンが伝えたいこと」をご覧いただき、ありがとうございます。今日上映したのはドキュメンタリー映画「はだしのゲンが見たヒロシマ」(77分版)を小さいお子さんにも見てもらえるよう約30分に短縮した作品です。77分版は中沢啓治さんが自身の被爆体験にもとづき、漫画『はだしのゲン』を描いた、漫画家としての半生を追った作品です。

      中沢啓治さんの被爆証言をドキュメンタリー映画に

 私は東京生まれで学生時代に、初めて広島を訪問して被爆の語り部として有名な沼田鈴子さんに出会いました。沼田さんは被爆アオギリの下で私たちたった2人の学生のために、熱心に被爆体験のお話をしてくださりました。

 この映画は、広島で平和の活動を進めているNPO法人Ant-Hiroshimaと東京の映画会社が協力して、高齢化している被爆体験者の証言を記録する活動がキッカケで作られました。このとき中沢啓治さんにも被爆体験を語っていただきました。中沢さんのお話は力強く、「はだしのゲン」は世界中で読まれている作品であり、より多くの人に中沢さんの被爆証言を届けようと映画化することになりました。

 この取材のときは、私は編集と撮影のアシスタントとして関わっていたのですが、映画化にあたり、監督をやってみては、という話になりました。「はだしのゲン」の存在は大きく、監督の経験もなかったため、大変迷いました。中沢さんは世界中の戦争を知らない子どもたちに向けて「はだしのゲン」を描いた方です。私も読者の一人として中沢さんに向き合い、お話を聞かせて頂けば良いのではと監督を引き受けました。

 「はだしのゲン」は25言語に翻訳・出版

 「はだしのゲン」はこれまで25言語に翻訳・出版されています。最初はロシア語版、次に英語版が翻訳・出版されました。当時、ヒッピーのような若い人たちが中沢さんに英語版の翻訳の許可を求めるとすぐに「いいよ!」と返答されたそうです。「はだしのゲン」が劇映画、アニメ映画、ミュージカルなど多分野に広がったのは、若者たちへの中沢さんの応援があったからだと思います。

 世界中で日本の漫画が広まっているのは、出版社が商業ベースで判断してプロの翻訳者がつき、翻訳・出版・販売されているからです。「はだしのゲン」のように翻訳経験のない市民の人たちがプロジェクトをつくり25言語まで広がった漫画は他にはありません。世界中で「はだしのゲン」が必要とされているからだと思います。その一例として、シリアのがれきの中に「はだしのゲン」が描かれたプロジェクトを紹介します。

 シリアでは国内紛争が長く続き、空爆で建物が壊されていたところに2023年2月に大地震が起きて街の建物の7割方が崩壊してしまった地域があります。ここで絵を描いているのは「希望の筆」というアーティストグループです。シリアでは「はだしのゲン」のアニメの一場面を通して原爆のことが知られています。地震の時、がれきの下から家族の「助けて」という声が聞こえているのに、助けられなかったそうです。「ゲン」と同じことが起きている、シリアのことを知ってほしいとこの絵が描かれました。彼らは長崎で被爆した「焼き場に立つ少年」も描いています。シリアだけでなく、ウクライナやガザ、世界中の人たちに「はだしのゲン」は必要とされており、私たちもつながっていきたいと思っています。

 

 シリア北西部・イドリブ県のがれきの中に描かれた「はだしのゲン」©︎ Muhammad Haj Kadour

 金沢を中心に「はだしのゲン」を全国の図書館や海外に向けて寄贈する活動を進めているNPO法人はだしのゲンをひろめる会があります。戦禍にある子どもたちや震災からの復興にむけた地域の子どもたちにも「ゲン」が果たす役割があるため、私も一緒にお手伝いできればと思っています。

 

 

『新版・広島の木に会いにいく 被爆樹木が見る未来』を出版

 私は被爆樹木について10年以上取材を続けています。今年夏に『新版・広島の木に会いにいく 被爆樹木が見る未来』を出版しました。広島の被爆樹木は、爆心地から半径約2kmの範囲で現在159本が登録されています。観察すると爆心地側は傷を受けていたり、木肌が荒れ、根の張り方や枝の量が少ないなどの症状があり、爆心地の方向に幹が傾いているものがあります。皆さん、広島を訪問される機会がありましたらぜひ被爆樹木を見ていただきたいと思います。

 広島の樹木医の堀口力さんは、被爆樹木を長年守ってきた方です。堀口さんは「木にも尊厳があります」と手をかけすぎず、木の生命力を引き出すような治療法を続けられています。

絵 エディット・キュー 『新版 広島の木に会いにいく 被爆樹木が見る未来』石田優子著、偕成社より

 被爆樹木2世の種も育てられています。昨年ノーベル平和賞を受賞した日本被団協の人たちはオスロの授賞式に参加したときも被爆樹木2世の種を国立オスロ大学の植物園に寄贈しています。

 堀口さんは広島を訪ねて来られたたくさんの人に被爆樹木を案内されています。それぞれ言語や思いが異なる人であっても木を大切に育てていくように、平和への思いを共有できるようにと話されています。

 被爆樹木は人間よりも長く生き、次の世代、その次の世代へと生きて原爆への思いを引き継いでいきます。中沢さんは亡くなられましたが、私も被爆者の思いを次の世代に届けていきたいと思います。

 

 「人類にとって最高の宝は平和です」

 中沢啓治さんは「人類にとって最高の宝は平和です」と常々話されていました。「はだしのゲン」は連載開始から50年以上読み継がれ、世界中の人たちに愛されていますが、次の50年、100年とこの漫画を生き続けさせていきたいと思っています。 皆さんもぜひ「はだしのゲン」を再読したり、広島・長崎を訪れていただきたいと思います。                 

 (まとめ 神田順一)

◎11月1日、金大祭の戦後80年企画「はだしのゲンが伝えたいこと」上映会での石田優子監督のアフタートークです。

 

第62回金大祭・統一テーマ

躍動~心を重ね、前へ~

    このテーマには「金大祭に関わる一人ひとりの思いを重ね合わせ、大きな力となって未来へ向かって進もう」という願いが込められています。 金大祭は学内の部活・サークル・有志団体が日頃の活動の成果を発表する〈学生自治と文化の祭典〉です。能登半島地震・奥能登豪雨の甚大な被害から一歩一歩復興に向けて進んでいる被災地へのエールを込めて、そして「戦後80年」の今、ウクライナやガザなどで戦火が上がる世界に対する平和の思いを込めて、盛大に実現します。お誘い合わせのうえぜひお越しください。

 戦後80年企画上映会

ドキュメンタリー映画「はだしのゲンが伝えたいこと」

 日時  11月1日(土)1回目 11:00~/2回目 14:00~

11時40分頃から石田優子監督のアフタートーク!

会場  金沢大学角間キャンパス・総合教育講義棟A1教室

(入場無料  上映時間約30分)

主催  第62回金大祭本部実行委員会

*金大祭公式ウェブより転載

 

  寄贈図書を手にする大塚ハルト君㊧と図書館司書のMatthew Schafer 先生

 

Jakarta Intercultural Schoolに「はだしのゲン」を寄贈

インドネシアのジャカルタ・インターカルチュラルスクール(Jakarta Intercultural School)の中学3年生の大塚ハルト君から「はだしのゲンをひろめる会」HPを介して、相談があり、本会から「はだしのゲン」「Barefoot Gen」を寄贈したの同校の図書館司書のマーシュー・シェファー(Matthew Schafer) 先生からお礼のメールが英文で届きました。本会HPに掲載します。

 

Thank You So Much
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October 15, 2025

Dear Mr. Shirasaki,

On behalf of the Jakarta Intercultural School community, I would like to express my heartfelt gratitude for your generous donation of Barefoot Gen in both Japanese and English. We are deeply honored to receive these important works, and we appreciate the care and intention behind your gift.

Barefoot Gen holds a powerful message of peace, resilience, and humanity. These volumes will be a valuable addition to our High School Library and will help our students gain a deeper understanding of history, empathy, and the lasting importance of peace.

Our students and faculty come from many parts of the world, and your donation will surely inspire thoughtful reflection and meaningful conversations across cultures and generations. We are sincerely thankful for your efforts to share Barefoot Gen with readers around the world and for including our school in that mission.

Please accept our warmest appreciation and respect for your continued work in promoting peace and understanding through education and literature.

With gratitude and best regards,

Matthew Schafer

HS Librarian & Tech. Specialist

Jakarta Intercultural School

 

Google翻訳にて和訳したものを紹介します。

【図書館司書のMatthew Schafer 先生のお礼メール】(2025年10月15日)

NPO法人はだしのゲンをひろめる会

理事長 様

ジャカルタ・インターカルチュラル・スクールを代表し、日本語版と英語版の両方で『はだしのゲン』をご寄贈いただき、心より感謝申し上げます。これらの貴重な作品を拝受できたことを大変光栄に存じます。また、ご寄贈いただいた皆様のご配慮とご厚意に感謝申し上げます。

『はだしのゲン』は、平和、立ち直る力、そして人間性という力強いメッセージを込めています。これらの書籍は、本校の高等学校図書館にとって貴重な一冊となり、生徒たちが歴史、共感、そして平和の永続的な重要性についてより深く理解する上で役立つことでしょう。

本校の生徒と教職員は世界各地から集まっており、皆様のご寄贈は、文化や世代を超えた思慮深い考察と有意義な対話を促すきっかけとなることは間違いありません。『はだしのゲン』を世界中の読者に届けるご尽力、そして本校をその使命に迎え入れてくださったことに、心より感謝申し上げます。

教育と文学を通して平和と理解を促進するという、皆様の継続的なご尽力に、心より感謝申し上げます。

感謝と敬意を込めて

 

【大塚ハルト君のお礼メール】(2025年10月15日)

NPO法人はだしのゲンをひろめる会

事務局長  様

ご連絡ありがとうございます。
そして、国際郵便での複雑な手続きやご発送にご対応くださり、心より感謝申し上げます。

本日、図書館司書のマシュー・シェーファー先生からも、『はだしのゲン』日本語版・英語版が無事に到着したとの報告をいただきました。
先生もとても喜んでおり、図書館に並べる準備を進めてくださっています。

また、先生と一緒に寄贈書籍を受け取った記念写真を撮りましたので、添付いたします。

このたびは、貴重な寄贈とあたたかいご支援を本当にありがとうございました。
これからも、多くの生徒がこの本を通して平和の大切さを学んでいくことを願っています。

 

 

ノーベル平和センター 教育・活動室に『Barefoot Gen』が展示

プロジェクト・ゲン代表    西多喜代子

 

    NPO法人はだしのゲンをひろめる会が7月3日にオスロのノーベル平和センターに寄贈した『Barefoot Gen』が、この程、当センターの教育・活動室「マララ」に展示されました。その写真と担当者Guro Stavseng Slinningさんからのメールを紹介します。

寄贈本へのお礼メール

 お返事が遅くなり、心よりお詫び申し上げます。ご厚意の寄贈の本に深く感謝しております。本は実に素晴らしいものです。

 ノーベル平和センターの教育担当者としてご連絡いたします。当センターでは、子どもや青少年を対象に、ノーベル平和賞、平和、民主主義、人権、対話、そして、もちろん、最新の受賞団体である日本原水爆被害者団体協議会(Nihon Hidankyo)と、彼らが核兵器廃絶と軍縮のために勇敢に闘う姿について学んでいただく活動を行っています。

 お送りいただいた本が、当センターの教育・活動室「マララ」(写真添付)に展示されていることを、大変嬉しくご報告いたします。

 来館者は自由に座り、書籍を閲覧し、その重要な内容について考えることができます。ご寄贈に心より感謝申し上げます。

 

広島の木に会いに行く

 戦争に負けて80年経ったこの夏、「広島の木」に会いに行ってきた。きっかけは、ちょうど2年前、夫と二人で経営する喫茶店で「はだしのゲンが見たヒロシマ(ダイジェスト版)」の映画上映会を開催する機会を得た時に、この映画を製作された石田優子監督を知ったことだった。上映会に尽力してくれた元同僚に、石田さんが執筆された著書「広島の木に会いにいく」(偕成社)のことを教えてもらった時、私は衝撃を受けた。広島の町は焼け野原になったはずなのに、そんな木が存在していたなんて思いもよらなかったのだ。その時からずっと、原爆をたえた木「被爆樹木」をひと目見たくて、いつかその日が来ないかとぼんやりと願っていた。

 実際、街を歩いてみると、「これが被爆樹木ですよ」と説明してもらわなければ(実際は市の認定を受けた被爆樹木にはプレートがつけられている)戦後広島の街に植樹された木との違いはほとんどなくて、さりげなく街のあちこちに点在している感じだった。もちろん中には、まっ直ぐに立つことができず幹や枝をくねくねとうねらせ、葉も枯れ枯れになっているものもあったが、樹木医や一部の心ある人たちの手によって大切に守られているのが見て取れた。

 そんな被爆樹木を見てまわっているのは、私たち以外はガイドに案内してもらっている外国人ツアー客くらいで、その人たちは木の幹に触れたり写真をパシャパシャ撮影したり楽しそうだった。原爆ドームや平和記念資料館は多くの人でごった返していたけれど、それに比べると被爆樹木を眺めている人は圧倒的に少なかった。

 高層ビルや商業施設が立ち並び原爆ドームがとても小っちゃくなってしまった広島の街。その雑踏の中を忙しなく行き交う人々を見たとき、どれほどの広島市民がそこに被爆樹木があることを思って生活しているのだろうか?と、素朴な疑問を持った。住んでいたらそれが当たり前の風景になってしまうし、そんなことを毎日考えていたら気が重くなってしまうから知らないふりをしているだけなのだろうか。

 戦後、満州や台湾、朝鮮などから引きあげてきた人びと、中国残留孤児の人がたくさん住み着いたと言われる元町にも足を運んだ。当時は不法なバラック小屋がたくさん立ち並んでいたそうだが、その後、町は開発され現在は公営の高層アパートに様変わりしている。ここには広島の被爆樹木の中でも一番背が高いと言われているクスノキがあるのだが、今は高層アパートの方がもっと背が高いので特別目立っているわけではなかった。でも、当時は平屋の建物が立ち並ぶ中にポツンと立っていたわけだから相当際立っていたと思うし、あの原爆をたえてこの場所でずっとこの町の変遷を眺め、そして、それはこれからも続いていくのだと思うと感慨深かった。当時若かった人たちも高齢となり、団地に住む人たちの介護やコミュニティの問題はどんな風なのだろうかなど、いろいろ思いを巡らせながら町を後にした。

 帰りに、美味しいと評判なお店でお好み焼きを買って広島駅に着くと、突然の大雨で試合開始が一時間遅れとなり立ち往生している広島カープファンの集団が目の前に飛び込んできた。その光景を見た時、急に現実社会に引き戻された気持ちになった。

 被爆樹木に会いに行きたいと思っていた夢は叶ったけれど、そもそもなぜ私はそれを見たかったのか?見終わった後もその答えは明確には見つかっていない。ふと、なぜ、今のこの時代を生きていて、自由社会が前提のはずなのに、ある瞬間、こんなに生き苦しさを感じることがあるのだろうか?と、思った。戦前・戦中のようにモノが言えない時代ではないのに、それ以上の恐怖感があるのだろう。私は、空気で人を支配するような今の社会に慄いた。言葉を発することができない被爆樹木は、私たちに何か圧力をかけるわけではなく、ただ、そこに原爆が投下されたという事実を証明するために存在する。私も、被爆樹木のように、今の時代を後世に繋ぐ証人の一人でありたいと願う。

 爆心地ゆえに多くの人が訪れ、経済優先の社会の中で街全体が観光化されていく違和感。被爆樹木の存在を多くの人に知ってもらいたいけれど、観光名所にはなってほしくないという複雑な気持ち。原爆の悲惨さを経験した人がどんどんいなくなっていく中で、何も言わずにただそこに立っていてくれる被爆樹木のことを忘れたくはないし、また必ず訪れたい。でも、その時は、お気楽な気持ちで広島カープの応援もしたいし、美味しいお好み焼きもしっかり食べたいと思うのだった。

おしゃべり café めてみみ  にしざきまなみ

【注記】  標記の広島訪問記「広島の木に会いに行く」が私のところに送られてきました。筆者の了解を得ましたので、本会HPに紹介します。筆者(西崎真奈美さん)は私の元職場の同僚であり、5年前に中途退職して、現在ご夫婦で町屋を改修して喫茶店「おしゃべり cafe めてみみ」(金沢市暁町11-27   電話076-256-0330)を営んでいます。

 2023年夏には漫画「はだしのゲン」連載開始記念事業として、お店で「はだしのゲンが見たヒロシマ」映画上映会等のイベントも開催してもらいました。8月末に広島に行き、Ant-Hiroshimaの渡部久仁子さんに被爆樹木を案内してもらったそうです。その訪問記です。 (はだしのゲンをひろめる会HP担当 神田順一)

 

新版「広島の木を見にいく―被爆樹木が見る未来」のご案内

広島の市井の歴史と被爆の実相を学ぶ

 「物言わず、ただそこに在るだけ」──そう思っていた樹木が、実は平和の象徴であり、被爆の証言者でもあることを知ったのは、ドキュメンタリー作家・石田優子さんの著書『広島の木に会いにいく』を読んでからでした。

 原爆で瀕死の傷を負いながら(ときに2世、3世と命を繋ぎ)生き続けるその姿は、被ばくした人たちに生きる希望を、命を落とした人たちには祠として安息の場を与えてきました。その体には、一体どんな傷痕と記憶が刻まれているのでしょうか。

 本書は、一つひとつの被爆樹木が持つ物語と、それを守り育んできた人々の営みを丁寧に取材し、まとめた良書です。2015年の初版から10年を経て、全面的に改稿し写真を追加した新版が、今年6月に出版されました。平易な優しい言葉で綴られており、「広島」を知る入門書としてもおすすめです。

 戦後・被爆80年。戦争・被爆体験を語ってくださる方はとても少なくなりました。記憶を受け継ぎ、伝えていく世代である私たちには、真実に向き合う力(知る力)と想像力がこれまで以上に求められています。

 自ら語ることのない被爆樹木に向き合うのも同じこと。私たちが意識して目と耳を開き、学び、想像力を働かせなければ、その記憶を知ることはできません。そんな取材対象にじっくりと時間をかけて向き合い、自問自答を重ねて紡がれた石田さんの言葉には、知る力と想像力を広げるヒントが散りばめられています。 

 被爆樹木のことを知り、大切に守っていくことは、広島の市井の歴史や被爆の実相を学ぶこと。平和な世界をつくること。そう教えてくれた本書が多くの方の手に届きますように。

 そして、本書を読んだ後には「広島の木に会いにいく」ことはもちろん、石田さんが監督したドキュメンタリー映画『はだしのゲンが見たヒロシマ』もぜひご覧ください。漫画『はだしのゲン』の作者・中沢啓治さんが、自身の被爆体験とゲンに込めた思いを語る作品です。誇張や演出なく、中沢さんの思いを丁寧に伝えたい、そんな石田さんの真摯な姿勢がこの映画にも貫かれています。

(核戦争を防止する石川医師の会事務局・小野栄子)

 

 

     オーストラリアの高校・図書館に「Barefoot Gen」を寄贈しました

 

 7月26日に放送されたNHK・新プロジェクトX「アメリカに渡った漫画・はだしのゲン」にはたくさんの反響がありました。はだしのゲン英語版「Barefoot Gen」の国内販売窓口になっているプロジェクト・ゲンにはこれまで30セット以上の注文があり、またNPO法人はだしのゲンをひろめる会(以下、ひろめる会)にも10人以上の会員登録や寄付金の申し出がありました。

 このうち千葉県浦安市在住の河野文化様から高校生のときに1年間留学したオーストラリアの高校(Eudunda Area School)の図書館に「Barefoot Gen」を寄贈するため購入したいとの連絡もありました。この件につき、プロジェクト・ゲンの浅妻南海江さんから相談があり、ひろめる会から寄贈図書を提供して河野様経由でオーストラリアの高校に送っていただきました。

 この程、河野様の留学先の高校で「Barefoot Gen」を披露したときの写真をひろめる会HPに紹介します。

 

  オーストラリアの「Eudunda Area School」のホストファミリー㊨と学生たち

<追記>河野文化様は、上記の体験にもとづき、FacebookのAFS協会のコミュニティに、ひろめる会の紹介とともに、はだしのゲン英語版を海外の母校に寄贈しませんか、と投稿されることになりました。大変有難い提案であり、今後、年次計画を立ててAFS協会の皆様との連携プレーが実現できればと願っております。

 

珠洲市の小・中学校に「はだしのゲン」を寄贈

核戦争を防止する石川医師の会

古木充弘教育長㊨に日本語版を託す核戦争を防止する石川医師の会の大浜和憲世話人

  核戦争を防止する石川医師の会では、漫画「はだしのゲン」を石川県内の小中学校等に寄贈する活動を2011年から継続して取り組んでいます。戦後・被爆から80周年となる今年、県内市町16番目に寄贈が実現したのは、令和6年能登半島地震で甚大な被害を受けた珠洲市です。震災の影響が長引く中にもかかわらず、お時間をとっていただき、9月24日(水)に、珠洲市教育委員会を訪問し、寄贈式を実施しました。

 地元の書店から寄贈用図書を購入

 当日は、吉木充弘教育長、岸田和久事務局長、河﨑裕子主幹兼係長に対応いただきました。反核医師の会からは大浜和憲世話人(小児外科医師)、大田健志事務局員、NPO法人はだしのゲンをひろめる会より神田順一事務局長が参加しました。珠洲市には、小学校が5校、中学校が2校、小中義務教育学校が2校あり、全11校に日本語版を、中学校と小中義務教育学校の計4校にはひろめる会を通じて英語版「Barefoot Gen」をあわせて寄贈しました。また、今回、日本語版の寄贈にあたっては、珠洲市の地元書店の応援になればという思いから、珠洲市飯田にある「いろは書店」を通じて購入し、寄贈しました。

 珠洲市では、震災や豪雨による被害を受けた家庭も多く、仮設住宅に住んでいる方、そして珠洲を離れた方も少なくありません。吉木教育長は、厳しい状況の中でも珠洲に残ることを選択した子どもたち、親御さんが残ってよかったと思ってもらえるように努めていきたい、その前提として子供たちの心のケアにも取り組んでいきたいとお話され、教育委員会のみなさんが珠洲の子どもたちに誠実な思いをもって関わっている様子が伝わってきました。

中学校に英語版を寄贈したはだしのゲンをひろめる会の神田順一事務局長

 子どもたちが「ゲン」に触れる機会を要望

 神田さんからは、同会が今夏実施した県内公共図書館への日本語版および英語版の所蔵状況・寄贈希望アンケートの取組を紹介し、珠洲市立図書館では日本語版、英語版がすでに所蔵されており、今回寄贈した学校での効果的な配置なども含めて、子どもたちの目に触れてもらえるような工夫についても提言しました。大浜世話人からは、ゲンは事実に即していない点があるなど批判されることもあるけれど、それも原作者の強い気持ちの表れ。実相を伝えていくためにも非常によいマンガであり、ぜひ子どもたちに読んでいただきたい。とお伝えして、和やかに懇談が終了しました。

 今回の寄贈を機に、珠洲市の子どもたちがゲンに出逢い、踏まれても踏まれても麦のように立ち上がるゲンの姿から、震災を乗り越えていく力に繋がれば嬉しく思います。

 2025年9月現在で当会の寄贈活動は県内16市町120校に広がりました。引き続き、県内の全市町への寄贈、図書館や学校以外の子どもの居場所などにも寄贈を広げていきたいと思います。

(報告 大田健志)

石川県内公共図書館への「はだしのゲン」所蔵・寄贈希望アンケート・報告書

NPO法人はだしゲンをひろめる会

     NPO法人はだしゲンをひろめる会が「戦後・被爆80年」記念事業として、今年7月に石川県内・公共図書館(55館)対象に実施した漫画「はだしのゲン」所蔵・寄贈希望アンケートには、全ての図書館から回答を頂きました。図書館担当者各位に厚くお礼申し上げます。

    アンケート回答では『はだしのゲン』の所蔵は32館ありましたが、『Barefoot Gen』の所蔵は7館だけでした。このうち石川県立図書館と金沢学院大学図書館の所蔵図書ははだしのゲンをひろめる会から、能登町立中央図書館の所蔵図書は核戦争を防止する石川医師の会から寄贈したものです(集計結果はした表にて)。

『はだしのゲン』は40館、『Barefoot Gen』は18館が所蔵に

  『はだしのゲン』の寄贈希望は15館あり、そのうち8館は所蔵していない、7館は所蔵しているところからです。「所蔵はありますが、受入から相当年数が経過しており、状態があまりよくない巻もある」「購入してだいぶ年数を経て、よく貸し出されてきましたため、傷んでいて補修しながら」等のコメントもありました。よく貸出しされている証しと推測しています。『Barefoot Gen』の寄贈希望は11館あり、その全てが所蔵していないところからです。おかげで『はだしのゲン』所蔵は40館、『Barefoot Gen』所蔵は18館に増えました。

被爆体験の継承と平和創造のために

   この「はだしのゲン」所蔵・寄贈希望アンケートは、公益財団法人ヒロシマ平和創造基金(理事長 岡畠鉄也中国新聞社社長)の被爆体験の継承と平和創造を支援する「ヒロシマピースグランド2025」助成事業として実施することができました。重ねてお礼申し上げます。

  『はだしのゲン』コミック版を出版している株式会社汐文社では、広島市教育委員会の学校教材から「ゲン」削除が明らかになった2023年2月16日以降に1巻から10巻まで全て増刷しています。2023年は漫画「はだしのゲン」連載開始50周年、2024年は中沢啓治氏がアメリカの「コミックの殿堂入り」、日本被団協のノーベル平和賞受賞を契機として、改めて『はだしのゲン』に関心が寄せられ、出版社に問合せや注文が急増しているからです。

   本会では、今回のアンケート集計結果を励みに、引き続き「はだしのゲン」をひろめる事業を推進していきます。

 

図書館名 はだしのゲン Barefoot  Gen 備考欄
所蔵 寄贈希望 所蔵 寄贈希望
1 石川県立図書館 所蔵 なし 所蔵 なし 注1
2 金沢市立玉川図書館 所蔵 なし なし なし 休館中
3 金沢市立玉川こども図書館 所蔵 なし 所蔵 なし  
4 金沢市立玉川図書館城北分館 なし なし なし なし  
5 金沢市立泉野図書館 所蔵 なし 所蔵 なし  
6 金沢市立金沢海みらい図書館 所蔵 なし 所蔵 なし  
7 七尾市立図書館 所蔵 寄贈希望 なし 寄贈希望  
8 小松市立図書館 所蔵 なし なし 寄贈希望  
9 小松市立図書館分館南部図書館 所蔵 なし なし なし  
10 小松市立空とこども絵本館 なし なし なし なし  
11 輪島市立図書館 所蔵 なし なし なし  
12 輪島市立図書館町野分館 なし なし なし なし  
13 輪島市立門前図書館 所蔵 なし なし なし  
14 珠洲市立図書館 所蔵 なし なし なし  
15 加賀市立中央図書館 所蔵 なし なし なし  
16 加賀市立山中図書館 所蔵 なし なし なし  
17 羽咋市立図書館 所蔵 なし なし なし  
18 かほく市立中央図書館 所蔵 なし なし 寄贈希望  
19 白山市立松任図書館 所蔵 なし なし なし  
20 白山市立美川図書館 所蔵 寄贈希望 なし なし 注2
21 白山市立鶴来図書館(本館) 所蔵 寄贈希望 なし なし  
22 白山市立鶴来図書館本町分館 なし 寄贈希望 なし なし  
23 白山市立かわち図書館 なし 寄贈希望 なし なし  
24 能美市立根上図書館 所蔵 なし なし なし  
25 能美市立寺井図書館 所蔵 なし なし なし  
26 能美市立辰口図書館 なし なし なし なし  
27 野々市市立図書館・学びの杜ののいちカレード なし 寄贈希望 なし 寄贈希望  
28 川北町立図書館 所蔵 なし なし なし  
29 津幡町立図書館 所蔵 なし なし 寄贈希望  
30 内灘町立図書館 所蔵 寄贈希望 なし 寄贈希望 注3
31 志賀町立図書館 所蔵 寄贈希望 なし なし  
32 志賀町立富来図書館 所蔵 寄贈希望 なし 寄贈希望  
33 宝達志水町立図書館 所蔵 寄贈希望 なし 寄贈希望  
34 中能登町立図書館 所蔵 なし なし なし  
35 穴水町立図書館 なし 寄贈希望 なし なし  
36 能登町立中央図書館 所蔵 なし なし 寄贈希望 注4
37 柳田教養文化館 なし 寄贈希望 なし なし  
38 能登町立松波図書館(分館) なし 寄贈希望 なし なし  
39 北陸先端科学技術大学院大学附属図書館 なし なし なし なし  
40 金沢大学附属図書館中央図書館 所蔵 なし 所蔵 なし  
41 金沢大学附属図書館自然科学系図書館 なし なし なし なし 注5
42 金沢大学附属図書館医学図書館 なし なし なし なし 注5
43 金沢大学附属図書館保健学類図書室 なし なし なし なし 注5
44 石川県立大学図書・情報センター なし 寄贈希望 なし 寄贈希望  
45 石川県立看護大学附属図書館 所蔵 なし なし なし  
46 石川工業高等専門学校図書館 なし なし なし なし 注6
47 金沢医科大学図書館 なし なし なし なし 注7
48 北陸大学図書館 なし なし なし なし  
49 北陸学院大学ヘッセル記念図書館 所蔵 なし 所蔵 なし  
50 公立小松大学附属図書館中央図書館 なし なし 所蔵 なし 注8
51 公立小松大学附属図書館粟津図書館 なし なし なし なし  
52 公立小松大学附属図書館末広図書館 なし なし なし なし 注9
53 金沢星稜大学図書館 なし なし なし なし  
54 金城大学図書館 所蔵 なし なし なし 注10
55 金沢学院大学図書館 なし 寄贈希望 なし (寄贈希望) 注11
アンケート回答数:55 所蔵:32 寄贈希望:15 所蔵:7 寄贈希望:11  
        (2025年9月8日)

 

<コメント>今回のアンケートを契機に「はだしのゲン」を所蔵する図書館が32館から40館に、「Barefoot  Gen」を所蔵する図書館が7館から18館に増えました。特に自治体立図書館(38館)では34館(89.5%)が所蔵することになりました。

 

注1.石川県立図書館が所蔵している日本語版、英語版は2022年11月にはだしのゲンをひろめる会が寄贈した図書です。
注2.当館は所蔵はありますが、受入から相当年数が経過しており、状態があまりよくない巻もあるので寄贈していただければ幸いです。
注3.はだしのゲンの所蔵はあるのですが、購入してだいぶ年数を経て、よく貸し出されてきましたため、傷んでいて補修しながらという状態なので、寄贈いただけるならありがたいお話です。
注4.能登町中央図書館が所蔵している日本語版は2024年6月に核戦争を防止する石川医師の会が寄贈した図書です。
注5.本学では中央図書館が所蔵しています。
注6.寄贈を辞退する理由は、当館の書架が狭隘化していることや、当館が工学系の専門書を主に所蔵しており、そのほかの資料は県内図書館に所蔵がある場合は相互貸借を利用しておりますので、『はだしのゲン』に関しましても閲覧希望の利用者へは相互貸借を利用して提供したいと考えているためです。
注7.公共図書館へ漏れなく寄贈していただければ幸いです。「はだしのゲン」の周知は必要と思う。
注8.当館では英語版のみ所蔵しております。書架が狭溢化してり、日本語版を一緒に置くことはむずかしい状況です。県内の所蔵が増えたら相互貸借を利用して希望者に提供したく考えます。
注9.当館は保健医療療学部の特化した図書館でその専門書を主に収蔵しており、その関係で図書内容は絞られています。
注10.先日、寄贈いただきました。ありがとうございます。
(追記)6月18日、本会の正会員の仲介により、日本語版を寄贈しました。
注11. 当館は公立図書館ではありませんが、ご寄贈の対象になりますでしょうか? 学生たちに『はだしのゲン』を読んでほしいと願っております。
(追記)英語版は本会事務局から間違って送付しましたが、図書館の担当者とのメール交信を通じて受理していただきました。

はだしのゲン・紙芝居

出版物の紹介


はだしのゲン
『わたしの遺言』
 中沢啓治 著

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